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コラム

苦楽歳時記
vol150 時間

2015-06-04

 時夫(ときお)は朝、目を覚ますとまっ先に時計を見る。

 現代人はいったい、一日に何回時計を見るのだろう。無意識のうちに時計に目を向けては、時間のことをいつも気にしている。

 分刻みで行動する超多忙な時夫は、時間に対してナーバスだ。「もう時間がない、急げ」。いつでも時間のことばかり気にしているので、時夫の腕時計の文字盤に、彼の妻が「汝自身を知れ」と書き記した。

 ソクラテスの妻は悪妻であったといわれているが、ソクラテスがよく引用していた、アポロンの神殿に掲げられていた名句をもって戒めた時夫の良妻は、自分の夫に人生の大きな転機を示唆したのである。

 「時は人間が消費しうるものの中で、最も貴重なものである」と最初に述べたのは、古代ギリシャのディオゲネスである。この言葉を原典として、ベンジャミン・フランクリンの格言、「時は金なり」が泰西のことわざとして定着した。

 ここで「時」を話題にした論争を企ててみた。

 シェイクスピア「諸君、時というものはそれぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなんだよ」。

 ヤング(英・詩人)「君は何を言うのかね。ぐずぐずしていることは、時間を盗まれることと同じである」。

 ブレヴォ(仏・評論家)「肝心なことは、時はその使い方しだいで黄金にでも鉛にもなる」。

 発明王エジソンは何百回、何千回にも及ぶ失策した実験をそれが出来ないための方法を千回発見したと語った。

 その直向きな情熱は「決して、時計を見るな」をモットーとしていた。物事の結果にだけ固執して時間を消費するのではなく、その過程において時間を最大限に活用したのがエジソンである。

 『日本書紀』によると、天智天皇の十年(六七一)四月二十五日、漏刻(水時計)と鐘鼓によって初めて時を知らせたという。その日を太陽暦に換算して、六月十日を『時の記念日』に定められた。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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