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コラム

苦楽歳時記
vol146 五月

2015-05-07

 四季の変化に乏しく、年間を通して温暖な南カリフォルニアでは、季節ごとの風物詩が少ないのでものたりなさを憶える。

 それでも早咲きのジャカランダの花が、ちらほらと街路に媚び始める今ごろの季節になると、初夏の息吹を肌で感じずにはいられない。

 五月を歳時の中で寵愛したのは耽美派の詩人、木下杢太郎と北原白秋だ。杢太郎の『五月の頌歌(ほめうた)』は、「そう云う五月が街に来た… 」という書き出しで始まっており、胸にわく欣快にたえない五月を褒め称えている。

 詩人の萩原朔太郎は、「五月の朝の新緑と薫風は、私の生活を貴族にする」という名言を遺している。

 「高原の朝あおあおとほととぎす」。これは行方寅次郎が詠んだ五月の花鳥風月である。

 「五月はどんなことをも可能にしてしまう」と、この時節にぞっこんなのは、アメリカの牧師兼作家のエドウィン・ティールからの言葉だ。

 だが、日本では新緑のこの時節になると、『五月病』という厄介な心身症に青息吐息する新入生や新入社員が増え始める。

 子供の進路が決まり、ほっと一息する間もなく突然と母親に襲いかかってくるのが『新五月病』。母と子の絆は青緑よりもはるかに濃くて深い。

 この親子関係を象徴する五月の花クレマチスは、花の大きさに比べて葉や根がきゃしゃである。懸命に花のガクを支える茎のけなげさは、母性愛を彷彿とさせてくれる。

 カーネーションは、最も需要が伸びるのが五月である。菊、バラと並ぶ生産高を誇る花卉植物であり、ハウス栽培で周年供給されている。

 明後日の『母の日』(十日)には、カーネーションの花とともに、母への感謝の思いを込めた熱き言葉が、地球の上をこだまする。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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