キム・ホンソンの三味一体
Vol44 失ったことで得たもの
2015-04-23
先日、家内がスマホの盗難に遭いました。位置追跡の機能を使っても場所を確認できなかったそうです。しかし本当の問題はここからでした。携帯プランの2年契約更新後間もない上、保険もかけていなかった為、新しいスマホにアップグレードすることも新しい契約を結ぶことで携帯のディスカウントを受けることもできません。その後自分なりにリサーチしてみて気づいたのですが、すでにプランを持っている私達のようなケースはプランに入っている会社から正規の値段で買うか、ウェブサイトなどを通して中古を買うオプションしかないのです。もちろん正規の値段には手が出ず、大手ウェブショッピングサイトから中古のスマホを買うことにしました。
数日後スマホが届きすべて解決したかのように思えました。しかし、アクティベートするため最寄りの電話会社の店舗に行ったところ、SIMカードが必要だがここには無いから別の店舗に行くようにと勧められました。そこから怒濤のSIMカード探しの幕開けとなったのです。店をいくつも回っても見つけられず、あっても自社を通して買った電話でなければSIMカードは渡せないと言われるのです。大手電化製品小売店からスマホの製造会社にまで電話をしてみましたがすべて無駄でした。
電話をなくしてからすでに一週間でした。子供達の安全を考えるとこれ以上は待てません。お店を通して電話を買おうと決心し、翌日再び最寄りの店舗に出かけました。今までの私の紆余曲折を聞いた店員は、おもむろにお店にあったSIMカードをいくつも出して来て一つ一つ試し始めました。使えないことが分かった後も「もう買うからいい」という私の言葉を遮って他の店舗に電話してくれました。そしてついに機種に合うSIMカードを見つけて、私のためにとっておいてほしいと頼んでくれたのです。
早速その店舗に行きSIMカードを入れてもらいやっとアクティベートすることが出来ました。少しでもお礼をとスタッフ全員分の飲み物を抱えて再びそのお店に戻りながら、全く接点の無かった彼らと連帯感のようなものをおぼえました。困った相手に共感し出来るだけのヘルプをする、そしてヘルプされた側はその親切に対する感謝の気持ちを表現したくなる。携帯をなくしたことで思わぬところに友人を得ることができました。その日以来スマホの質問をしにちょくちょく彼に会いに行っているのですが、その度「Hey Dude!」と迎えてくれるのです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

