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コラム

苦楽歳時記
vol137 愛されていることの喜び

2015-03-05

神は人を助けるのではないのですか。信じれば願いが叶うのではないのですか。事故、病気など、何故神は助けてくれないのでしょうか。それも「計画」のうちとして、ただ受け入れるだけなのですか。
        — Y・Iさんからの質問

 ご質問に対して、この世で完璧な回答を示す者は誰ひとりとして存在しないと思います。幼子のように心を開いて、神の御前に自分をさらけだす姿勢こそが、まさしく霊の解放なのです。

 「生きることへの絶望なくして、生きることへの愛はない」(アルベール・カミュ『裏と表』)。神が私たちに絶望を送るのは、私たちを苦しめるのではなく、私たちの中に新しい生命を呼び覚ますためなのです。

 「主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災いを与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え、希望を与えようとするものである。」(エレミヤ書29・11)

 「神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛してくださった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。」(ヨハネよる福音書3・16)

 この御言葉は、聖書の中の聖書と呼ばれている、究極の愛を謳った御言葉です。

 素直な気持ちになれないのは、人間にはどうすることもできない罪が関係していると思います。今こそ心の扉を開いて、神様に全てを委ねる好機だと思います。

 「すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。わたしは柔和で心のへりくだった者であるから、わたしのくびきを負うて、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたの魂に休みが与えられるであろう。わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからである。」(マタイよる福音書11・28〜30)

 「すべての訓練は、当座は、喜ばしいものとは思われず、むしろ悲しいものと思われる。しかし後になれば、それによって鍛えられる者に、平安な義の実を結ばせるようになる。」(へブル人への手紙12・11)

 『さんさんと降り注ぐ主の恵み』というコラムに、「癌病みて 神の計画に 喝采」と一句詠みました。僕は神の計画に対して不服はないのです。神が与えた病に従いつつ余生を送り続けています。自分でも不思議なくらいです。

 僕も生身の人間ですから、時には不安感に襲われたり、懐疑的になったり、闘病との戦いに疲れはてることもありますが、そんなときには心を正して、まず祈りの態勢に入ります。祈り続けていくうちに神の深い愛にふれて、平安へと導いてくださるのです。

 「幸福は健康がなければ生じないというのであれば、悲しいことであろう。だがそれは真実ではない。不幸な病人があるのと同様に、幸福な病人もあるのである。病人と幸福は絶対に対立させるものではない」

 「病気もまた幸福であり得るのであって、健康な日には起こらなかったものが、一段と高い人生観への浄化剤ともなり、血路ともなることが出来るのである」(カール・ヒルティ『幸福論』第三巻)

 僕は牧師や神学者ではありませんから、体験を通して語ることしかないのです。僕も人並みに試練が幾度となく襲いかかってきました。

 そんなとき、自分の力ではどうにもならず、神様を信頼して真剣に祈り続けました。何度も艱難に見舞われましたが、奇跡としか思えない想像もしないような形で、神様は毎回すくいの手をさしのべてくださいました。

 今も試練のどん底にいます。甲状腺の癌腫が落ち着いたと思ったら、リンパに転移しました。リンパが癒されたと思っていたら、脳に転移しました。今度は肺に転移しました。現在は骨に転移して癌細胞が増殖。まだ治療の方針が定まっていません。おまけにストロークの後遺症で、言語障害と右半身麻痺の身です。

 自分の身体がこのような状態に陥って、無念至極でなりません。心労も枯渇することはありません。しかし、いつまでも嘆いてはいられないのです。現況を直視して神を信じることと、心から神を愛することです。

 僕の介護をしながら経済的にも大黒柱となっていた家人は、三つあった仕事を昨年から今年にかけて全ての職を失いました。十三歳の娘も将来的にまだまだお金が必要です。僕が七年前に大患になって以来、わずかな蓄えも尽きてしまいました。多分この家も、フォークロジャーになる可能性があります。そうなれば信用を失い、一家三人で路頭に迷ってしまうことでしょう。

 このように僕たち家族は病気と経済的な困難の中にありますが、与えられた命に感謝して、この試練を乗り越えられる知恵と力をくださいと祈り、今、自分にできることを精一杯させていただいています。

 「それだけではなく、艱難をも喜んでいる。なぜなら、艱難は忍耐を生み出し、忍耐は練達を生み出し、練達は希望を生み出すことを、知っているからである。そして、希望は失望に終わることはない。なぜなら、わたしたちに賜っている聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからである」。(ローマ人への手紙5・3〜5)

 「愛」という文字は、心を受けると書きます。主の愛を心から感謝して受け入れることこそが、最も大切なことだと思います。人間は弱いものです。しかし、神の愛を知れば知るほどに、強くなれるのも人間なのです。

 神の愛を知っている者は、富んでいるときも貧に処しているときでも、喜びをもって生きることができるのです。主の十字架の愛は尽きることはないのです。

 ♪ 主は今、生きておられる。吾がうちにおられる。

 そうです、吾がうちにおられるのです。ですから、いかなる困難が襲いかかろうとしても、一切たじろぐことはないのです。

 神は全てのことを益にしてくださるのです。

 Y・Iさんも僕も、読者の皆さんも、限りなく神様に愛されているのです。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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