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コラム

苦楽歳時記
vol131 さんさんと降り注ぐ主の恵み

2015-01-22

 六年と三ヵ月前に、ストロークで倒れたときの検査結果は、癌腫に蝕まれていることが判明した。僕はICUのベッドの上で、何かの間違いではないだろうかと思った。なぜならば、僕は癌の家系ではないからだ。 

 その夜、癌細胞が消滅してしまった夢を見た。薬の副作用で幻視、幻聴などの幻覚が現れてくるので、現実を把握することは不可能であった。

 ICUから一般病棟に移されてからも、実状を直視することはできなかった。しばらくして薬の種類がかわったために、幻覚の症状は治まった。

 改めて医師から現実を突きつけられた。「ステージ4、余命四ヵ月」。

 日頃の僕はいくじなしで、こわがりで、ささいなことでも心痛になる。それなのに一向に動じない僕がいた。心の底で未だに疑っていたのだ。

 徐々に現況を知るようになってからも、僕の心は全く動揺しなかった。なぜだろうかと、冷静につらつらと考えてみた。

 僕はプロテスタントのクリスチャン。病院のベッドの上で、お祈りと賛美は毎日欠かせなかった。牧師と信徒の皆さんが見舞い来られると、必ずお祈りと賛美をしてくれる。

 心が洗われるようで常に平安を保っていた。そういう状況の中で、僕は今まで以上に心を込めて神に祈ることにした。

 やがて、イエス様の癒やしを心奥から信じるようになったのである。ある日、聖書を読んでいると、イエス様の声が聞こえたような気がした。

 イエス様は、僕に条件を突きつけた。悔い改めることと、全ての人を赦すことである。「あの人のことは絶対に赦すことはできない」と思っていたことが、日々祈っているうちに、いつの間にか心のわだかまりがほどけてしまっていた。

 僕は更に祈りを続けた。「三位一体の神様、どうぞ御心のままにお導きください」。祈り終えてから一句詠んでみた。

 「癌病みて 神の計画に 喝采」


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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