HIS 10

ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など

日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

コラム

苦楽歳時記
vol125 美しい言葉

2014-12-05

「文は人なり」

 この有名な金言をのこしたのは、フランスの博物学者ビュフォンである。

 もともと「文」とは「言葉」のことであった。旧約聖書のいたるところに、勇壮で創造に満ちた言葉の概念が記されている。

 太古より、世界中の詩人たちは、言葉について多くの詩を書き遺している。

 空に舞う凧はふたたび子供の手に帰る/だが、口から舞い出た言葉は元に帰らない/「火の用心」はよき薦めであるが/「言葉にご用心」こそ、最も肝要だ/心の中の思いはそのまま消滅していくが/ひとたび口から出た言葉は、神でさえこれを亡きものには出来ない(ウィル・カールトン)

 「言葉を用いる人の見識次第で、同じ言葉が高くも低くもなる」(夏目漱石)

 「見識」とは、ものごとについて見通しを持つしっかりとした考え方だ。そこには、他者に対する思いやりのある品性が伴っていなければならない。

 言葉一つで相手を怒らせたり、悲しませたり、励ましたりすることができるのだから、言葉を発する誠心には深い同情心、慈愛、謙遜、柔和、寛容が、絶えず宿っていなければならない。

 子供の時分に、「ありがとう」を言うようにしつけられたはずだが、大人になったら「どうも」、「すみません」、「サンキュー」でかたづけてしまうことがある。

 幼い子供に向かって「ありがとうと言いなさい」と親が諭すことも大切だが、妻がお茶を入れてくれたら、夫は妻へ笑顔で「ありがとう」の言葉で感謝の意を表し、夫が食事の後片づけを手伝ってくれたら、妻は夫に笑顔で「ありがとう」の言葉で礼を言う。

 子供はそういう両親の言動を見聞きしながら、自然としつけが育まれる。

 「おはよう」、「ありがとう」、「ごめんなさい」、「いただきます」。日本語には美しい言葉が数多とある。

 美しい心は、美しい言葉から生まれるのだから。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
Facebook   Twieet

新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




[ 人気の記事 ]

第230回 碧い目が見た雅子妃の嘘と真

第249回 尻軽女はどこの国に多いか

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 後編

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー① アメリカについてよく知ることが大切

第265回 天才と秀才、凡才の違い

第208回 日本と北部中国に多い下戸

第227回 グレンデールに抗議しよう

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 前編

第173回 あなたの顔の好みは?

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー③ アメリカについてよく知ることが大切



最新のクラシファイド 定期購読
JFC International Inc 新撰組10月 Cosmos Grace CCT pspinc ロサンゼルスのWEB制作(デザイン/開発/SEO)はSOTO-MEDIA 撃退コロナ音頭 サボテンブラザーズ 





ページトップへ