キム・ホンソンの三味一体
Vol38 みんな同じ、みんな違う
2014-10-29
娘が生まれたばかりの時、韓国にいた私の母が電話で「娘で良かったね。息子は何人いてもしょうがないよ。結局はみんな嫁に取られてしまうから。」と結婚して以来なかなか実家に寄り付かなくなった私に嫌味たっぷりのジョークを披露してくれたことがありました。それ以来このジョークを、白人、黒人、ヒスパニック系、インド系、アラブ系等など様々なバックグラウンドを持つ人々に話して来ましたが、未だに一度も笑わなかった人はいませんでした。本当に人間というのは、人種や文化の違いに関わらず皆同じなんだなとつくづく思ったものです。
しかし、同じ人間でもそれぞれ違いが必ずあるということをお互いに認め合うことも大切です。ある日、娘を迎えにプリスクールに行った時のことです。担任の先生に娘の学習の様子について聞いたところ、「とても良いですよ。ただ強いて言えば動物の分類がまだちょっと分からないみたいですね。」と思わぬ返事が返って来ました。よく話を聞いてから「分かりました。家でも練習させます。」とだけ言って家に帰り、家内と爆笑しました。どうやら、授業で色々な動物や食べ物などが描かれたカードをそれぞれのグループに分ける遊びだったらしいのですが、娘はどうしてもタコを食べ物のグループに入れようとして聞かなかったようでした。実は私と娘は茹でたタコが大好物なのです。どちらの気持ちも分かるような気がしました。あの若い白人の女の先生にすれば、さすがに4歳児がタコの足を頬張る姿は想像できなかっただろうと思います。
食文化や習慣の違いは当然なことで善し悪しの問題ではありません。マナーの次元で、もしタコよりすごいものを食べているお友達に出くわしても「何でそんなもの食べてるんだ」などと失礼なことを言わせないためにも、最近我が家では相手に配慮することを娘に教えようと心がけています。例えば「学校のカードにあるタコは食べる用のタコじゃないから動物組ね。」とか「お友達がお弁当に自分の嫌いなものを持って来たとしても『eww(おえ)』とか言ったらダメよ」等などです。
先日お隣の一家がうちに遊びに来てくれました。お嬢さんのSちゃんは娘と同じ年で、アジア系のお友達は娘が初めてだそうです。2回目のプレイデートですがお互い気が合うようでとても楽しげです。マナーのしつけの成果もあってかなかなか良い子にプレイデートを楽しんでいた現在4歳と3ヶ月の娘でしたが、やっぱり最後に派手にやってくれました。お別れ間際にたまたまテレビに映ったタコが泳ぐシーンを指差して「パパあれは食べる用のタコ?Is it yummy?」するとSちゃん、小さい声で「eww...」
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

