キム・ホンソンの三味一体
Vol37 形あるものは壊れる
2014-09-25
すでに9月だというのに毎日猛暑が続いています。今の家に住んでもう10年近くになりますが、比較的涼しい場所でエアコンを使うことがほとんどありませんでした。毎年夏に一度や二度試しにつけてみたことはありますが、冷たい風が出ることを確認したらすぐに消していました。ところが今年の7月になって長時間つけてみたところ、あまり冷たい空気が出ていないことに気づきました。しかしその時はまさかこんな猛暑が来るとは夢にも思わず、「逆にエアコンがない分電気代が安くなるからいいか」と威勢の良い事を言っていたような気がします。
暑い時の不快感や苛立ちは本当に暑くなってからでないと実感が湧かないものです。9月に入ってから記録破りの暑さに見舞われると、もはや扇風機は(回っているのが見えるという)視覚的な効果でしかなく、「このままではいけない」という危機意識さえ芽生え始めました。急遽エアコンの修理のため業者を呼ぶと同時に、全館空調エアコンの買い替えという最悪のケースに備えてその値段を調べてみると、なんと一万ドルという驚きの値段でした。しかし、すでにこの猛暑を相手に完全に戦意を失っているうえ、双子の赤ちゃん達のことを考えるとやはり「背に腹は代えられん」と沈痛な思いで意を決したのであります。
隣人の紹介で来てもらった業者さんが屋根裏のエアコンの本体をチェックしている間、祈りがきかれたのか、少しの修理とガスの補充だけで済ますことが出来ました。しかし、冷たい風に吹かれながら喜びを味わったのも束の間、エアコンの水が屋根から下に漏れているとの連絡を翌日家族から受けた時には、言葉を失いました。現在は再度の修理でエアコンはもう完全に直ったのですが、家を冷やし過ぎたのがいけなかったのか、インフルエンザの予防接種を受けた双子達が微熱で鼻水を出してしまいました。身体がつらいのか夜も寝つけず泣いていて、できることなら代わってやりたいとさえ思いました。このことがきっかけで家族さえ大事に至らなければ、あとはどんな物が壊れようが全くかまわない、と精神的に少し強くなったような気がすると先日家内に話している時の事です。現在4歳と2ヶ月になる娘に「パパのくるま、ピーピー(おしっこ)してるよ」と言われて「まさか前に一度直した燃料漏れ再発!?」とビックリして行ってみるとただのエアコンの水でした。もう本当にやめてほしいです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

