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コラム

苦楽歳時記
vol110 怒り

2014-08-21

 「怒り」という狼藉な行為は、常に回避するように心がけているつもりなのだが、フリーウェーを運転しいているときに、スピードを上げて無法な割り込みをする車を目のあたりにすると、突発的に怒りがこみあげてくる。

 三木 清は、『人生論ノート』の中で、さけるべきは憎しみであって、怒りでないと言い放つ。

 突発的怒りは純粋性、単純性を示し、習慣的憎しみは習慣的に永続する憎しみと考えられるからだ。

 突発的怒りは、元来人間が抑えられるべき行為でない。また、絶えず怒っていることは、連続した憎悪であると考えられる。

 太宰治が、あの人、(イエス・キリスト)を揶揄(やゆ)する短編小説『駆け込み訴え』の中で、主人公のイスカリオテのユダに「怒る時には怒らなければ、人間のかいがありません」と言わせている場面がある。

 けれども、カーライル(英国の歴史家)の考え方は、怒りが爆発して争いが生じた場合、我々はもはや真理のためではなく、怒りのために争うことになるので、留意せよと促している。

 イソップの物語に『人とキツネ』の話がある。キツネの害に困窮する人が、キツネを捕まえて出来るだけ酷い罰を与えようとたくらみ、麻のくずを束ねて油を染み込ませてから、しっぽに結びつけて火をつけた。

 驚いたキツネは一目散に走り出したが、たどり着いた先が捕まえた人の収穫前の畑であったために、穀物はみんな灰になってしまった。怒りっぽく根にもつ人は、そのために大損をするという、イソップのたとえ話。

 「怒りは敵と思え」、これは徳川家康の遺訓の一節だ。旧約聖書にも「怒りを遅くする者は勇士にまさる」と書かれているが、いつの時代においても、短気は損気のようである。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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