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コラム

苦楽歳時記
vol108 僕の日常

2014-08-07

 数年前、クリスチャンのリトリートに参加した折りに、サンデエゴから参加されていた八十歳の女性と話しをした。

 この女性は五十歳のときに、癌を患って医師から余命六ヶ月と宣告されたそうだ。「あれから三十年も生きている。医者の語ることは、まともに受けとめたら駄目ですよ」と、僕に告げた。

 かくいう僕も、余命四ヶ月と宣告されたのに、もう、六年近くも生きながらえている。生きていて行くことがつらいと思った時期もあったけれど、信仰と家族の深い愛と人々の祈りに支えられて、僕は力強く生きぬくための業を授かったのである。

 ストロークの後遺症として、言語障害と右半身麻痺があるので働くこともできない。どこへ行くにしても家人に頼りっきりで、洋服も一人では着られないありさまだ。こんなにも早く濡れ落ち葉になろうとは、情けないかぎりだ。

 僕は短い距離ならば一人でも歩ける。スーパーマーケットをゆっくり一回りするくらいなら、お手の物だ。左手だけでこなす買い物と料理をしているときが、最も楽しくて欣快になれる。

 僕の日常は、つたない雑文を執筆することと、読書にテレビ、ジャズの音楽鑑賞とパソコン相手の将棋。それから教会の礼拝に主席することと通院することだ。時おり、安くてウマイものを味わいに外食に出かける。

 原稿の締め切りが迫ったときには一気呵成となる。連載の記事が月に数本と、そこに単発の原稿依頼が舞い込んでくる。僅少の稿料は家計に回されてしまうので、常に小遣いには事欠く。悪疾を患って以来、ライフワークの詩にまつわる論文が、未だに執筆できないのではばかゆい。

 かつて、唯一の気分転換であったテナーサックスも、右半身麻痺になって以来、吹くことができなくなってしまった。今ではジャズを聴きながら、エアー・インストルメンタルを楽しんでいる。

 そして、心の平安を保つために聖書を読むことと、祈ること、賛美することは、毎日欠かさないように心がけている。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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