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コラム

現代社会ド突き通信
第三回 ハイブリッド文学・唐 亜明様

2014-07-25

 あなたとわたしは外国に住んでいて、またわたしもあなたのように日本人の社会からはみ出していて、そして、わたしは絵の世界を知っていても出版社とか雑誌とか文学の世界を日本を出る前に知りませんでした。今のように男女共学ではなかった時で、編集者は男が殆どでわたしには知己はなく、全く編集者とか権力(?)のある作家を知っていて押してくれるというような立場ではありませんでしたから苦労をしました。
 わたしの時は、偶々開けた目を持った作家が選考委員で、そしてあの時は日本がバブルで有り余った金を外国で遣おうと外に目を向けようとしていた時でもあったので、わたしのたどたどしい日本語を分かろうとしてくれたのだと思います。選考委員の中には、わたしの日本語がとても昔的にかっちりとしていて、この頃こんなの見られないと言った作家もいましたが、たどたどしく、英語の字引を引いて日本語を思い出していたわたしにはなんやらその選考委員の言ったことがぴーんともこなかったんです。
 でもそういう時期と開けた考えの委員とがいたということでわたしはラッキーだったと思っています。それでも書き始めてから15年は経っていました。
 こちらから見ると、小説でもエッセイでも書くのは、自分が何か言いたいからで、心に訴えるものがあるから書くのですが、なにも大切なこともなく、心に訴えることもなく、感情の高まりもなく、絶えず何か(往々にして権力者)を気にして、自分が言いたいことも遠慮して言わないという日本特有の雰囲気に満足している人が多いので、これでは日本の社会も人間もお互いに刺激を与えることもなく、発酵して死んでしまうのではないかと思うことがあります。
今から思えば英語式の日本語や日本語式の英語もあって良いのですが、何も完全な言語がわたしの頭にないと思った恐怖が大きかったし、アメリカで自分が考えていることや自分の環境を知らせたいと焦っていましたので、英語的日本語でいいのだと主張することも考え付きませんでしたし、全然出版もして貰ったことのない無名の人間でしたので、当時(1970年代)そういうことを言っても誰も「何言うてんねん」で終わってたと思います。
 わたしは中国語風の日本語もフランス語風な日本語も英語風な日本語もハイブリッドになるとエネルギーが湧き、これから先もっと精気が入って来てよくなるのではないかと考えているのですが…。どうお思いになりますか?
 いつまでもいい子でいると黙って殺されていくのがせいぜいということになるのではないでしょうか?
 然り而して日本文学も。あなたがおっしゃっているように、日本語文学となると巾が広くなり、視野が開け、思考法も一新するのではないでしょうか…。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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米谷ふみ子




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