後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第282回 日本、戦争と海外派兵を宣言
2014-07-08
『兵隊を海外に派遣して戦争することができる』と日本の閣議(大臣会合)で決めたのに対し、『憲法九条(戦争放棄)に反する』とし、『政策の大転換を国会(国民の声)を経ずに与党(自民、公明)だけで決めたのは横暴』との声が上がっています。
これまでの日本は『専守防衛に徹し集団的自衛権の行使はできない』という立場でした。
閣議決定によると、密接な関係にある他国(米国のこと)に対する武力攻撃が発生した場合、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が覆される「明白な危険」がある場合、日本の兵隊(今のところ自衛隊)は戦闘に従事できるとしています。
従来は『海外派兵などもっての外』という解釈でした。
私の知人で元・内閣法制局長官だった阪田雅裕さんは『国家の存立が覆されるとか明白な危険とか、抽象的で具体性を欠く』と政府の糊塗(こと)を責めています。
官僚として頂上に駆け上った阪田さんは、引退後も一弁護士として初心を貫き、講演や執筆で安倍内閣の危うさを指摘しています。
血気盛んな三十代、美しい奥様の手料理を堪能しつつ、日本の行方を語り合った二人です。
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同じ敗戦国のドイツは一九五五年NATO(北大西洋条約機構)に加盟、ドイツの再軍備を警戒するフランスの疑心を解きました。
NATOは典型的な集団的自衛組織です。X国に襲われる加盟国を他の加盟国が武力で助ける相互防衛機構です。
仮にフランスがX国に侵略されたらドイツは加盟国と共に同国を助けなければなりません。
逆にドイツがX国に攻撃されたらフランスも直ちに武力でドイツを支えなければなりません。
米国は世界の警察の役割を果たせなくなっています。二○○一年の911以降イラク、アフガン戦争で膨大な戦費を支出、底なしの財政赤字に苦悩しています。
日本の再軍備、海外派兵は米国のかねてからの要求で、同盟国としての覚悟を示したのが再軍備の閣議決定だったとみてよいでしょう。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

