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コラム

現代社会ド突き通信
第三回 堤清二(辻井喬)さんのこと

2014-05-30

堤さんのインタービューから一ヶ月位後に拙著「タンブルウイード」という長編が文庫本で集英社から出ることになった。係りの編集者がアメリカに電話を掛けてきて、
 「米谷さん、この文庫本を出すに当たって、誰か作家とか評論家でこの小説の紹介、解説をしてくれる人知りせんか?」
と尋ねた。
 前にも書いたように作家になったのもこちらに来てからであるから文学の分野では誰も知らないに等しい。
 「さあ? 知っている人? あーそうそう堤さん! この間東京に行った時、堤さんに会いましたけど」
と、言うと、その編集者は、「あーじゃあ、私彼を知ってますからお頼みに行きます」
と言って、頼みに行ってくれた。
 後ほど彼女から電話があって、
 「とても快く、書きますよと仰って下さいました」
と、告げた。
 この孤立している私のために忙しい中を拙著を読んで書いてくださるという彼にとても感激したのだった。
 その後、堤さんの紹介文が送られてきたのを読んで本当に驚いた。彼は懇切丁寧に拙著を読み批判を述べていた。とても犀利な洞察力で、眼識がある批判だった。「タンブルウィード」はカリフォルニアの生活を主題にしたものだったが、彼が当地に西武百貨店があったときに、四、五ヶ月滞在したことがあったので、日本人としてここに住んでいる主人公の心理状態に自分の経験を重ねての理解ある解釈であった。そこらの名のある人が名前を貸してあげるというような態度はこれっぽちもなかった。
 その後日本に帰った時、解説のお礼に夕食を堤さんにご馳走しようと思い、当時の「新潮」の編集長だった、また、私の担当だった坂本忠雄さんにその理由を言って
 「坂本さん、堤さんをよくご存知だとおもいますが、どんな食べ物が堤さんの好物なのか教えてくださいます?」
と、尋ねた。
 「堤さんはとても気さくな人でね。どこにでも行きますよ。居酒屋でも。気取らない人です。彼にどのような物が食べたいか尋ねるといいでしょう」
と、坂本さんは言った。
 それで、堤さんのオッフィスに電話をして、秘書の人に、
 「私の夫も東京に一緒に来ていますので、食事をご一緒にと彼が言っていますとお伝えください。この間は懇切丁寧な私の“タンブルウイード”という本の解説をお忙しい中をして頂いて、本当に嬉うございましたとお知らせください。私たちは東京に二週間滞在する予定です。堤さんのお好きなレストランにお連れいたします。ご指定くださいとお伝えください」 
 その秘書から返事があり、六本木のウエーブというビルにあるレストラン(名前は忘れた)明後日の12時と言うことだった。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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米谷ふみ子




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