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コラム

苦楽歳時記
vol92 藁(わら)焼き           

2014-04-18

僕の母は高知県で生まれ育った。高知市内には母の妹と、東京から嫁いだ父の姉が土佐市に住んでいた。

高知県の親戚の家に足を運ぶ度に、「鰹(かつお)のたたき」が食卓に並んだ。

僕は幼いころから、本場高知の鰹のたたきを食べて育ったのである。香ばしい香りの藁焼きの鰹のたたきは、ネギ、ミョウガ、アオジソ、ニンニクなどの薬味をまぶして、土佐酢、または柑橘系のポン酢をかけて掌(てのひら)で軽くたたいてから、冷蔵庫で一時間ほど寝かす。

「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」(山口素堂)

鰹の旬は春のみと思われがちであるが、春の初鰹(上りかつお)と秋の戻り鰹(下りかつお)で、鰹の旬は年に二度訪れる。

土佐ハチキン地鶏の藁焼きと、赤牛の藁焼きも美味だ。藁でいぶすように焼くと、燻製のような食欲をそそる香りがする。

フランスに訪れた際、モン・サン・ミシェルの一つ手前の、ポントルソンで食事をした。何か珍しい料理はないかとメニューを見ていたら、食堂の主(あるじ)が郷土料理のプレ・サレをすすめてくれた。

プレ・サレとは、海水を吸った牧草で育った羊を、藁でいぶすように焼いた料理。潮の香りをわずかに含んだ羊肉は、臭みがなく最高級品として珍重されている。

九州の友人を訪ねた折、福岡の『博多魚一・いっ笑』で夕餉(ゆうげ)をご馳走になった。『いっ笑』の名物、「藁あぶり刺し」を賞味した。活五島サバ、玄海真イワシ、本鰹など、上質な藁を使いあぶり刺しにした逸品。

藁焼きの料理の数々には、まことに芳しいおつな味がする。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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