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コラム

苦楽歳時記
vol89 論語

2014-03-28

 学生時代に儒教における四書の一つ、『論語』を愛読していた時期があった。最近にわかに『論語』を読み返してみた。

『論語』のなかに、こんな話が出てくる。ある時、葉公(しょうこう)という人が孔子さまに自慢げに語った。「父親が羊を盗んだ時、子がその事実を証言しました。」
 
孔子さまはすかさずおっしゃった。「わたしの村の正直者は、子に悪い行いがあれば親が隠してやり、父に悪い行いがあれば子が隠してやります。それが自然の性質に従った正直な行為です。」
 
自然の性質に従った正直な行為とは、お互いに思いやる気持ちを大切にしなさい。孔子はそのように語っておられるのだろう。
 
愚直な者のことを、馬鹿正直なやつと言って揶揄(やゆ)することがある。融通の利かない四角四面な人間は、とかくに敬遠されやすい。

孔子の教えをもう少し気高く精解するならば、自己よりも真理を優先させるべきだが、時には真理よりも隣人を愛さなければならない。概して、キリストの教えに通じるものがある。
 
子が育ち、一人前になると、やがて「嘘も方便」という処世術を知るようになるのだろう。だが、「方便」とは、日常語としての「便宜的な手段」という意味ではない。

仏教語である「方便」の真意は、「たくみになされた手段」を示している。従って「方便」には、相手を救済してやろうとする、釈尊の慈悲の精神が根差していなければならない。
 
人間は正直であるべきである。けれども、それと同等の真理が対極にあるとするならば、人の心は迷妄するばかりだ。
 
学生時代の僕は、儒教、仏教に関する書物を読みあさった。チベット仏教と密教に興味をもち、高野山へ修行体験に赴いたこともある。

訪米後、キリスト教に感興がわき、聖書の学びを通して罪を告白。悔い改めてクリスチャンとなった。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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