Alice in WINEderland
Vol. 51 Kistler Vineyards
2014-01-23
カリフォルニアワインがお好きだという方は、必ず一度は出会っているであろうキスラー(Kistler)。日本でも、特定の畑名が付くものは、3万円を超える価格で販売されているなど、カリフォルニアを代表するプレミアムワインの1つと言える。キスラー・ヴィンヤードは、1978年にキスラー一家が設立した家族経営のブティックワイナリーで、シャルドネとピノノワールの2種類の品種を生産している。フランス・ブルゴーニュのワイン作りの伝統を極限まで再現し、彼らが作り出すシャルドネは、白ワインの最高峰と言われるモンラッシェの新世界版と例えられ、世界的なワイン評論家であるRobert Parker氏をはじめとする業界の各有力者から非常に高い評価を受けている。
オーナー醸造家であるSteve Kistler氏は、スタンフォード大学を卒業後、ワイン醸造学の名門UCディビスで学び、自身のワイナリーを設立する以前は、リッジ・ヴィンヤードの醸造アシスタントを務めていた。同じくオーナーのMark Bixler氏は、マサチューセッツ工科大学およびUSバークレーを卒業し、フレスノ大学にて化学を教えていた。最新の醸造技術と数値による検証を取り入れたことが、エリートワインと言われる由縁である。
キスラーは複数の畑を有しており、その中でも特に高額で、トップキュベとされるのが、シャルドネでは、ソノマ・ロシアン・リバー・バレーに位置するキスラー・ヴィンヤード(Kistler Vineyardライン)、また、ピノノワールにおいては、シルバー・ベルト(Cuvée Natalieライン)、オキシデンタル・ステーション(Cuvée Catherineライン)、そしてボデガ・ヘッドランド(Cuvée Elizabethライン)がカルト級と称されている。一方、$100以下のイントロとして、個人的にお勧めしたいのが、Les Noisetiers。フランス語のヘーゼルナッツという名前が付けられたこのシャルドネは、旧世界を感じさせる酸とミネラル、そして新世界特有の果実感が感じられ、フランス新樽の香りが心地よい、バランスの良い1本である。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

