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コラム

苦楽歳時記
Vol.78 夫婦善哉

2014-01-10

 昨年は、織田作(おださく)の愛称で親しまれた、織田作之助の生誕百周年を迎えた。太宰治、坂口安吾、石川淳らとともに新戯作派、無頼派と呼ばれていた。

 織田作は大阪市天王寺区で生誕。同じく僕も天王寺区で生まれて育った。三十八年前に、文芸誌『関西文学』の取材で、編集長とともに織田作の姉、竹中タツさんのお宅を訪れた。

 タツさんは前もって座敷に、織田作が三校時代に愛用していた帽子と外套(がいとう)をハンガーにかけて見せてくださった。

 タツさんが織田作を語るとき、目を細めて「作ちゃん、作ちゃん」と、おっしゃっていたのが印象に残っている。

 昨秋、テレビドラマ『夫婦善哉』(原作・織田作之助)が放映された。僕は豊田四郎監督、主演、森繁久彌と淡島千景の『夫婦善哉』の方が、演技も上手くて二人ともはまり役だったと思った。

 小説『夫婦善哉』には、大阪弁と浪速のウマイものが、ふんだんに出てくる。道頓堀の『出雲屋』のまむし(うなぎ)、日本橋の『たこ梅』、法善寺横丁の『正弁丹吾亭』の関東煮(おでん)、千日前の『だるまや』のかやく(炊き込み)ご飯。同じく千日前の『自由軒』のカレーライス。

 織田作は、最も大阪らしい場所へ連れて行けと問われたら、法善寺横丁に連れて行くと随筆に綴っている。法善寺横丁にある水掛不動の隣に、ぜんざい屋があって、そこの屋号が『夫婦善哉』という。

 『夫婦善哉』の紀元は、文楽の浄瑠璃語り竹本琴太夫が、法善寺境内で副業としてはじめた「めおうとぜんざい」(明治十六年創業)と伝えられている。一人前の「ぜんざい」が、二杯のお椀に分かれているのが特徴。夫婦円満、恋愛成就の縁起物の「ぜんざい」として有名である。

 織田作は結核による大量の喀血を起こし、その後、病弱で創作力も劣りヒロポンの使用を続けた。それが命取りとなって人生の黄昏を早めた。昭和二十二年(一九四七)永眠。きょう一月十日は織田作之助の『善哉忌』。享年三十三。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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