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コラム

苦楽歳時記
Vol. 77『懐石』と『会席』

2013-12-27

 一九八十年代から九十年半ばにかけてリトル東京に、それなりに納得のいく日本料理店があった。

『堀川』、『東京会館』、『菜の花』、『すし今井』、『花菱』、『花亀』、『伽羅』他。中でも『花亀』の天ぷらと、『伽羅』の割烹はとびぬけて佳味であった。日本の料亭と比べても遜色のない味だ。

家人曰く「昔は日本から職人がやってきて、工夫を凝らして調理をしたので妙味であった」。

さて、本題の『懐石』と『会席』に話題を移そう。

各時代の代表的な宴会料理を年代順に挙げると、平安時代の大饗料理、室町時代の本膳料理、安土桃山時代の懐石、江戸時代後期から現代に至る会席料理などが挙げられる。
 
懐石の由来は、禅僧が厳寒と飢えをしのぐために、焼いた石を布に包んでから懐に入れて暖をとったことに始まる。腹つなぎに食べる茶懐石は江戸後期に考案されたが、ご飯と汁物が同時に添えられた「向こう付け」に始まり、酒も一緒に振る舞われた。

同じ時期に完成した会席料理は、民間料理として定着して行き、本膳料理を基にして簡略化されたいわゆる腰掛け料理の一つである。また、茶や俳諧などの人の集まる場を会席といった。

そこで、現代の一流料理店で、『懐石』と『会席』を区別する基準を、「吉兆グランヴィア店」(京都)店長の杉井啓吾さんに伺ってみた。

『懐石』では料理のコースに抹茶を出すのが基本。吉兆では「おもてなし料理」が主なので『会席』を使用しているが、一般的に、料理を出す側の気構えを示すという意味で、『懐石』を用いる料理屋が多い。因みに会席料理とはいうが、懐石料理というのは間違いである。

先般、人気のウェブサイト『デーリー・ミール』が、最も高価なレストランの世界ランキングを発表した。一位に輝いたのは、京都嵐山の『吉兆』。一人当たりの予算が約600ドル。
サービス料に税金、それに飲酒代を加えると800ドルなる。正に高嶺の花だ。 


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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