後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第248回 天皇の政治利用って何ですか
2013-11-06
秋の園遊会の席上。
タレント参院議員の山本太郎さんが天皇に手紙を手渡したとして、「天皇の政治利用。失礼だ。議員辞職もの」などと糾弾の声が沸き興っています。
下村文科相ら保守政治家のみか一般国民まで彼の行動に批判的です。
山本議員は「(天皇に)子供や原発労働者の被爆被害を知ってほしかった」と言っています。
冷静に考えましょう。請願法三条の存在など知らなかったとしても、そんなに非難されるべきことかどうか。
「私(天皇)は国民とともにあり、その関係は互いの信頼と敬意とで結ばれているもので、神話や伝説に基づくものではない」。
天皇が一九四六年一月一日を期して天皇の神聖を否定した詔勅で、いわゆる「天皇の人間宣言」と呼ばれるものです。
明治憲法の「天皇は神聖にして侵すべからず」((第三条)で育った人々が驚愕したのはいうまでもありません。
だって私たちの父母、祖父母、曾祖父母らには、天皇を神とあがめ、天皇のために戦争をし、天皇のために死ぬことが至高の美徳だったじゃありませんか。
しかし昭和憲法の今も実は、天皇の神聖化や政治化が否定されているわけではありません。天皇を祭り上げ政治に利用する旧風は残っています。
昭和憲法は天皇の国事行為(第七条)の一つとして「国会を召集すること」を掲げています。
しかし戦後の保守勢力はこれに尾ひれをつけてせっせと天皇の政治利用に励みました。
例えば、国会開会式に天皇のご臨席、本会議場の正面に玉座と頭上に菊の紋章を配しました。
一段と高い玉座から居並ぶ議員を見下ろす位置で天皇が国会の召集を宣言するのです。
人間宣言をした天皇を引っ張り出してここまで利用するのか。まさに天皇の神聖化、政治化ではないか。
そのくせ山本議員には内閣(官僚)を通さず天皇にものを頼むなどもってのほかと言う・・。
これじゃ天皇の詔勅、勅旨で国民を戦争に巻き込んだ官僚専制の戦前に逆戻りじゃないか
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

