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コラム

苦楽歳時記
Vol.68 すしオークス

2013-10-24

ロサンゼルスからベンチュラ・フリーウェーを西へ五十分。カマリロの手前、ニューベリーパーク(Newbury Park)。ボーチャード・ロード(Borchard Rd)を降りて、南へ向かって直ぐのところに、『すしオークス』(SUSHI OAKS)がある。
 
この店に初めて訪れたのは、一九九四年の二月ごろであったと記憶している。僕がその近隣に移ってから、五年の間に何十回と赴いている。

その後、サウスベイに移転し、先ごろ約十六年ぶりに『すしオークス』に出向いた。店の規模は一回り大きくなりリモデルされていた。すしカウンターも大理石に変わった。店内は地元に住むアメリカ人の客で大盛況だ。

僕はカウンターに座り、オーナーシェフのナオキさんの心づくしの鮨を頂いた。最初はアメリカ風の鮨が出てくるものだと思っていたが、リトル東京の『鮨店』顔負けの鮨が出てきたのには驚いた。

先ず、ネタが新鮮なこと。アバコに自家製のポン酢がよく馴染む。ポン酢の味にはかなり研究していると察した。

甘えびにホタテは吟味したネタを使い、上品な甘みと滋味豊かな旨みが食欲をそそる。

アジはほどよく脂が乗り、それでいてさっぱりとしている。今までに食したアジの中ではトップクラスの味覚だ。全般的に白身のにぎり鮨が、群を抜いて美味かった。

 他にも、ブリ、ウニ、イクラ、サーモン、エビ、ソフトクラブ、それから初めてボルケーノを頂いた。

 近頃のアメリカ人は、日本人以上に鮨の味にこだわりを持っていると感じた次第だ。『すしオークス』の鮨は、日本伝統の鮨の味を間違いなく伝えている。こんなところにもナオキさんの意気込みが伺われる。

 ナオキさんは人情味あふれる人で、鮨ヘルパー、キッチンヘルパー、そしてウエイトレスにもたゆまなく心を配る。そして顧客にも「お・も・て・な・し」の心を忘れない。
そんな姿勢でいつもいるから、誰にでも愛されると思う。

 


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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