Alice in WINEderland
Vol.45 Kansai Soul Food
2013-10-16
久しぶりの帰国。幼少期を関西で過ごした私としては、訪問時には食べずにはいられないソウルフード、大阪のたこ焼きと奈良の柿の葉寿司。最近では東京に続き、大阪もワインビジネスのメッカとなりつつあり、新幹線が発着する新大阪駅付近にも、モダンでお洒落なワインバーが軒を並べている。
たこ焼きに合うワインを考えた時、マヨネーズと紅生姜の有無がペアリングに大きく影響を与える印象がある。マヨネーズ無し、紅生姜はライトめが好みの私としては、たこ焼きに使用されるダシとソースが重要な鍵。
スペインのテンプラニージョ品種、特に、アメリカンオークで熟成されたクラシックなスタイルで、数年の時を経た、まろやかなフィニッシュのものが良いのではないだろうか。アメリカ・セントラルコースト系の熟成した果実感がたっぷりのカベルネソーヴィニョンも良いかもしれない。または、方向性を変え、ビールの代替案という感覚で、クセのない、すっきりとしたニューワールド系のスパークリングワインとの相性も期待できる。
一方、柿の葉寿司は、柿の葉が持つ独特なアロマが鍵となる(今回は一番人気の鯖をピック)。西洋セイジやサンダルウッドに近いアロマも持ち合わせる柿の葉と、酢の効いた魚の味わいと戦わないものを選びたい。そのため、タンニンの強い赤ワインは避けた方が良いであろう。イースト香が心地よいフランスのシャンパンや、酸が柔らかいブルゴーニュのシャルドネ、特にマコン地域のものは合わせやすいのではないか。また、梅酒の代わりという感覚で、ドイツ・モーゼル地方のリースリングとのペアリングも期待できる。
新大阪駅で「柿の葉すし本舗たなか」のお持ち帰りセットを、そして駅構内の小さな高級食材店アモール・パントリーで、飲み切りサイズのミニボトルのパイパー・エドシック・シャンパンを購入し、新大阪-東京間の新幹線の旅を楽しむのが、私の「お決まり」である。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

