Alice in WINEderland
Vol. 44 Sake
2013-10-03
日本酒は和食と、というイメージが変わりつつある。英国の権威あるソムリエ認定機関、コート・オブ・マスター・ソムリエのマスターソムリエ・チームが日本酒の奥義を学ぶべく、日本の酒蔵を訪問したということは、業界でもホットトピックとなった。また、ビバリーヒルズにある某有名高級ステーキレストランでも、ワインリストに日本酒を組み込んだということで、ロサンゼルスのレストラン業界の注目度は益々上がっている。
アメリカ人がワイングラスに入った日本酒を片手に、精米歩合について語っている光景を見るのは、非常に新鮮で興味深い。どのようなスタイルがアメリカで好評なのか、を知るため、先日開催したソムリエグループの勉強会で、比較試飲を行った。全体的には、蒸米の香りや吟醸香がする、所謂高級ラインというよりは、モダンでフルーティーな仕上がりの日本酒が馴染みやすいという意見が多く見られた。
約50種類の日本酒の中で、特にビギナーに最適とされたのが、市島酒造のシルクデラックス。海外輸出用の工夫を加えたというこちらのお酒は、薄い桃色がかったお洒落なデザインで、白桃やメロンのアロマが印象的な非常にフルーティーなスタイル。ドイツのリースリング品種や、フランス・ロワールのシュナン・ブラン品種のワインを彷彿とさせる、やや甘みがありつつも、とてもクリーンで爽やかなフィニッシュである。
その他、アメリカのワイン通がアプローチがしやすい、日本酒への「ブリッジ」アイテムとして、純米・本醸造の部門では、栄光冨士の万流、秋田酒造の出羽鶴、純米吟醸・吟醸の部門では、酒田酒造の上喜元、 純米大吟醸・大吟醸の部門では、月桂冠の鳳麟純米大吟醸、天寿酒造の鳥海山純米大吟醸などが選ばれた。これから、更に、日本酒が面白くなりそうな予感。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

