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コラム

苦楽歳時記
Vol.53 言葉

2013-07-12

夏目漱石が金銭を例に挙げて言葉について語っている。 

十銭をもって一円の十分の一と解釈するか、一銭の十倍と解釈するかは人によって異なる。言葉も同じように、言葉を遣う者の見識によって高くも低くもなる。

芥川龍之介は、あらゆる言葉は銭のように必ず両面を備えていると言う。例えば「敏感な」という言葉の一面は、つまるところ「臆病な」と言うことに過ぎない。

それでは、「言葉」を生かす為の配慮とは一体どういうことなのだろうか。日本語には敬語があるが、相手の年齢貴賎に関係なく、言葉を浄化して豊かにしてから伝えることである。日常会話に於いても同じである。「歩」という語は少し止まると書く。ただ闇雲に歩み続けている訳ではない。言葉も口からすらすらと発する前に、少し止まって、言葉を吟味してみることが肝要なのである。

「言葉が生きていれば小人でも軽々と運べるのだが、言葉が死んでいれば、怪力の巨人でさえ持ち上げることは出来ない」(ハイネ/ドイツの詩人)

先日、ジャパンTVで『かんさい熱視線』、「ほんじつ 休ませていただきます ~大阪 古書店のメッセージ~」を観た。

大阪にある古本屋『青空書房』は、週に一度の定休日に、手書きのポスターが張り出される。そこには店主(坂本さん・八十九歳)から、客へのエールの言葉が綴られている。このイラスト入りポスターを見たさに多くの人が集まる。

なぜ、ポスターが人々の心をうつのか、僕も機知に富んだ含蓄を含んだ優しい「言葉」に感銘を受けた。

「本は人生の伴侶です/つまずいたときがスタート/すぎた昨日も 見えない明日も考えない/今に全力投球」

「人は誰でもつまずきます/挫折の数が多いだけ深まるものがあって/それが人への思いやり/やさしさなのですね」

「かげがえのない人生/遇えて良かった/美しきものやさしきものを求めて」


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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