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コラム

苦楽歳時記
Vol.44 母の詩

2013-05-28

 大阪の金剛コロニーで、闘病生活を送っていた知的障害の辻新太郎君は、生まれながら障害のある心臓を持ち、高血圧のために左半身が不随である。度々襲い掛かってくる激しいてんかん発作に苦しみながら、新太郎君は見事に耐え続けて生きていたが、ついに延命尽きて亡くなってしまった。

ぼくの母が訪ねてきた/やせてしまって細い体になっていた/苦労したんやな/ぼくのために/母ちゃん ゆるしてや/ぼくがバカやってんな/ゆるしてや 母ちゃん(『ママ、もっと笑って』光雲社)

次に『母の詩』をいくつか紹介しよう。
おかあさんのおっぱいは/まるくて大きいから/ひまわりの花みたいだ/あかちゃんの時/おっぱいのみすぎたのでわたしのかおも/ひまわりみたいに まるくなった (宮城県・中新田小学校二年 本多みのり)

おかあさん/おかあさんは/どうやって/おかあさんになったの (東京都桐ヶ丘小学校一年 かけ川かず子)

母よ/ぼくは尋ねる/耳の奥に残るあなたの声を/あなたが世に在られた最後の日/幼い僕を呼ばれたであろうその最後の声を/ 三半規管よ/耳の奥に住む巻貝よ/母のいまはの、その声を返せ (『母の声』堀口大学)

母の日は一年中で最もレストランが混雑する日だ。日頃の母への感謝の思いを、飲食やプレゼントでねぎらう気持ちは人情であるが、母との記念写真に添える詩を綴ることは、後々になって掛けがえのない追憶が甦る。 

特に、成人男性にとって、母に詩を贈ることは照れくさいことだ。今さら言葉や文章で感謝の気持ちを表わさなくとも、心で通じ合っている。確かにその通りであるが、勇気を出して母の詩を書こうではありませんか。

明後日は『母の日』。思い出の母の詩は、あなたの胸の中で、いつまでも、いつまでも生き続ける。
                 


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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