後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第188回 官僚の身分と仕事―日米比較
2012-10-24
政治家と官僚はどう違うのか。日本の官僚の頭(ず)が高いのはなぜか。
この質問は絶えることがありません。ひと言でいうと―。
選挙で国会議員になる人と、議員身分で入閣し省庁大臣になる人を政治家と呼んでいます。
選挙を経ないで国の公務員上級試験に合格し、省庁に採用される専門職を官僚と呼んでいます。上級職以外の試験に合格し採用されても、官僚とはいいません。
政治家は国民の代表ですが、官僚は国民の代表ではありません。政治家の第一の使命は国民に代わってルール(法律)を作ること。
しかし日本には法律作りを官僚に丸投げする伝統があります。専門知識がいるという理由です。
「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」(憲法四一条)とあるのに、法律作りを官僚に任せるため、官僚の存在が大きくなっているのです。
最も大切な予算法案も官僚の手で作られます。
国会で法案を法律にするのは政治家の仕事ですが、成立した予算の配分と執行は官僚に委ねられています。
限られた予算からいくら何に配分するかは財務省官僚の仕事です。
権力は金を握る者に集まる道理。財務省が官僚の中の官僚と呼ばれるゆえんです。
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議会人を政治家と呼ぶのはアメリカも同じです。国民投票で選ばれる大統領も政治家です。
しかし大統領の指名で職につく国務長官ら各長官、大使、局長ら内閣幹部の三千人は政治家ではありません。選挙で得たポストでないからです。
彼ら三千人は大統領に忠誠を誓う公務員で、日本の官僚に当たります。 しかし働く期間は大統領の在職内に限られます。
例えば今年十一月の大統領選でオバマさんが落ちたら、国務長官のヒラリーさんも職を失います。終身雇用の日本の官僚との違いです。
政治家の領域を侵す官僚が日本にいますが、国家公務員法でクビにできないことになっています。
官僚のクビを切れるよう法律を改めないと、官僚の越権をとめることはできません
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。