後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第179回 明日が見えない日本の政界
2012-07-14
小沢一郎さんが衆参五○人を引きつれ、民主党を去りました。
創ったり壊したり、四度目の離党行為。国民のためを思った行動なのか、世間の注意を「自分」に集めたいだけなのか。
前の選挙で国民に約束したマニフェストを守れ、マニフェスト違反の消費税増税をやめろ、の一点張り。
待ったなしの財政赤字。「消費税増税分を社会保障費に充てたいだけ」と首相の野田さん。
かみ合わない中で実行された造反劇は国民のためより、次の選挙にらみの策動に見えるのは筆者だけでしょうか。
衆院八○余人といわれた小沢グループの三八人が小沢さんと行動を共にしましたが、今後さらに増えると彼らはいっています。
ほとんどの人が小沢さんの選挙戦術を守って当選した一年生議員。解散総選挙の暁には小沢さん頼りの人ばかりです。
つまり国民のためより自分のために動く議員集団といえます。
造反劇で民主党が衆院の過半数(二四○)を割ることはありません。
二八九議席の民主党は二五一議席となり、第二党に一二○議席の自民党、第三党に三八議席の小沢党が入ります。
あとの勢力もこれまでと同じ。公明二一、共産党ときずなの九、社民党の六、みんなの五、国民の四、大地の三、たちあがれの二となります。
今後の政治、政局に小沢さんはどう対応しようというのでしょう。政治をとるなら国民のために働かなくてはなりません。
政局のため、つまり小沢党議員の次の選挙のために動くなら、新聞、テレビに批判されることになるでしょう。
民主党打倒の一戦略として、内閣不信任案提出を考えるかもしれません。
これが可決をみれば、十日以内に野田さんが内閣を総辞職にするか、衆院を解散して国民の信を問うしかありません。
内閣不信任案を提出するには同士五○人以上の連署が必要で、現状の三八人では足りません。
他党に働きかけて五○人以上をクリア、提出にこぎつけることは可能です。しかし民主党が衆院の過半数を占めている以上、内閣総辞職にも衆院解散にも追い込むことはできません。
小沢党の誕生が政界再編成につながるのか、「決められない政治」を続けることになるのか。
日本の政治文化が今ほど問われているときはありません。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

