後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第176回 小さな政府、「官から民へ」
2012-06-23
日本のスローガンは抽象的でわかりにくい。
わかりにくさを誇るように、簡単なことを難しげにいう。
スローガンの多くは政府事務方の官僚が書く。具体性を欠くもの言いで、逃げ道を作る。
だから行政のスローガンは漢文調で血が通っていない。血が通っていないから人々の無関心と政治離れを招きます。
三権(内閣、国会、裁判)を事実上独り占めする官僚機構にとって、これほど都合のよいことはありません。
官益に執着する官僚の言動は国益に反します。官僚支配の日本の今は、見かけ上の民主体制でしかありません。
選挙に行かない人々の諦めは、官僚を支持することと同じです。これでは何も変わりません。
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自民党の小泉内閣はかつて、「聖域なき構造改革」を唱えて人気をとりました。
人々はスローガンの響きに共鳴し、小泉首相が社会の悪構造を改革してくれると歓迎しました。
首相は官僚の聖域に迫りました。官僚が握る公益事業を民間に、官僚による中央集権を地方分権に、改めようと力説しました。
反対する自党の議員を「抵抗勢力」と指弾、党外に追い出しました。
「構造改革」とは霞が関に集中する行政を「官から民へ」、「中央から地方へ」移すこと。
郵便貯金や道路公団の経営を官僚から民間に移す!談合をやめさせ、税金を使わない「小さな政府」を目指す!
しかし首相の姿勢を支持しつつ、事の優先順位を決められないのが日本人の特技。
短兵急の小泉流は官僚と不満分子に妨害され、「劇場政治」と揶揄される始末です。
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電力業界に新しい動き。経産省の「電力システム改革委」は電力小売りについて「全面自由化」の結論に至りました。
法改正を経て二○一五年前後に実施の意向。官僚支配の許認可事業の電力業界に、競争原理が持ち込まれるのです。津波による原発被害と電力供給不足という不安要素が官僚の牙城をつき崩そうとしています。
「官から民へ」の改革が始まりました。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

