Alice in WINEderland
Vol. 11 Ma(i)sonry
2012-06-08
一風変わったワインテイスティングルーム「Ma(i)sonry」。ヨーロッパの田舎町を思わす石造りの落ち着いたこの建物は、元々は、イタリアからナパに移住してきた葡萄園経営者Charles Rovegno氏が1904年に建てたプライベート・メゾンで、彼が亡くなった後、1954年から2007年まではブティックホテルBurgundy House Innとして経営されていた。2008年以降は、現オーナーのMichael Polenske氏の下、現在のアートコンセプトを融合したテイスティングルームとして、ナパの新しいアトラクションとなっている。Ma(i)sonryの名前の由来は、小さい家を意味するMaisonと石工職人の作品を意味するMasonryを組み合わせたものとのこと。敷地には、Polenske氏が収集した16世紀のヨーロッパのアート・家具から、近代のモダンアート作品まで、幅広く展示されており、いずれの作品もその場で購入することが可能。なお、現在この建物は、米国国家歴史登録材に指定されている。
ここでは、高級ラインを揃える提携ブティックワイナリー20社のワインを試飲することができる。リストには、日本でも認知度が上がってきているCoup de FoudreやLail Vineyardsも含まれる。今回パティオで試飲させて頂いたのは、新星カルトワインとささやかれているBlackbird Vineyards。前述Polenske氏が2003年に創設したワイナリーで、数々の有名ワイナリーを手がけてきたAaron Pott氏をワインメーカーに迎え、フランスの右岸・ポムロールを意識したワイン作りに力を入れている。シリーズのうちIllustration ($125) はメルローが主体で、チェリーやカラントの赤の果実にフラワーブーケのような華やかなアロマが広がり、全体のバランスの良さ、またその余韻の長さはワインの品質の高さを表している。Paramour($125)はカベルネ・フランが主体で、黒すぐりやブラックベリーの黒の果実に森のハーブや心地よいコーヒーのアロマが続き、層を成すフレーバーと柔らかで深みのあるフィニッシュが印象的。
洗練されたワインとアートのペアリングが楽しめる異空間、是非一度足を運ばれてみては。ワインリストの詳細および予約はウェブサイト(http://www.maisonry.com/)より。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

