Alice in WINEderland
Vol. 9 American Rhone
2012-06-08
スーパーのワインコーナーで「Rhone」の文字が入った米国ワインが目立つようになってきた。
ローヌとはフランス南部のローヌ川流域を指し、そのユニークな気候と土壌により、優良なワイン生産地域として知られている。ローヌ地方は北部と南部に分けられ、それぞれワインのスタイルが異なる。北部の赤ワインの主要品種はシラー、白ワインはヴィオニエである一方、複数の葡萄をブレンドしたスタイルが主流の南部では、赤ワインにはグルナッシュ、シラー、カリニャン、ムールヴェードル、サンソー、白ワインにはグルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、マルサンヌ、クレレットなどが使用されている。ボルドーやブルゴーニュほど認知度は高くないが、高品質なワインはコレクターからの注目も高い。その中でも南部のシャトー・ヌフ・デュ・パプからは、評論家が高得点を付けるワインが続々と登場している。
これらの品種を使用した米国ワインを「American Rhone」と呼んでいる。最近は、カリフォルニアのサンタバーバラとパソ・ロブレスでこのスタイルのワイン作りが盛んになってきた。
その中で、個人的に特にお勧めしたいのがJaffurs Wine CellarsとVilla Creek Cellars。Jaffurs Wine Cellarsはサンタバーバラに位置するブティックワイナリーで、新世界のエッセンスを加えたローヌ単一品種に力を注いでいる。畑別に数種類あるSyrahシリーズとJaffurs Viognierは各専門誌で評価が高い。Syrahはいずれも凝縮した果実のアロマを有し、口に入れると控えめな美しさと複雑味を感じることができる。Viognierは白い花のパフュームを思わせる艶やかな香りが非常に魅力的。Villa Creek Cellarsはパソ・ロブレスに位置し、クラッシックなスタイルのワインに定評がある。Garnacha Denner Vineyard(グルナッシュ)はシャトー・ヌフ・デュ・パプを彷彿させる奥行きがあり、優しく仄かな甘みのニュアンスが特徴的。Willow Creek Cuvée(3品種のブレンド)は、バランスが取れた豊かな果実味と丸みのあるフィニッシュが高く評価されている。
ワイン業界の新しい風、American Rhoneに今後も注目して行きたい。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

