後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第167回 魔性の輝き、ダイヤモンド
2012-04-11
一二・七六カラットの希少ピンクダイヤが採掘され、女心をピンク色に染めています。
現場はオーストラリア、鉱業界大手リオ・ティントのアーガイル鉱山。ご成婚の折、エリザベス女王に贈られた二四カラットのウイリアム・ピンクに似ているそうです。
「アーガイル・ピンク・ジュビリー」と命名され、地元紙ヘラルド・サンは百十万㌦以上の値がつくと予想しています。
史上最大のダイヤ、カリナンは一九○五年、南アのプレミア鉱山で偶然、発見されました。
原石は三一○六カラット、タテ五㌢、ヨコ六㌢、厚さ一○㌢、こぶし大の化け物でした。
発見したのは鉱山の管理人。当初は誰かの悪ふざけでガラスの塊が埋められていると思っていたそうです。当時、ガラスを埋めて騙し合うゲームが鉱山内で流行っていたからです。
カリナンはトランスバール州政府が買い取り、六十六歳の誕生日を迎えた英国王、エドワード七世に献上されました。
国王は早速、オランダのアッシャー・ダイヤモンド社にカットを依頼。
社長のアッシャーは業界一の職人でしたが、どんなカットにするか心底悩みました。
ナイフを握った手が震えました。失敗したらどんなお咎めを受けるかしれないと思うと、生きた気がしなかったと伝えられています。
幸い原石は最高の方向に割れましたが、彼はその結果を知ることができませんでした。緊張のあまり気絶したのです。
ダイヤは数十億分の一の奇跡といわれています。
地下三百㌔、約二千度、六万気圧の高温・高圧マグマの中で、長い時間をかけて結晶プロセスが進みます。
火山爆発で、地上に噴き出す一瞬に固まる炭素の同素体、それが原石ダイヤです。
俗に4Cといわれるカラット(重さ)、カラー(色)、クラリテイー(透明度)、カット(加工)の総合評価で価値が決まります。
奇跡の魔性ゆえに奇跡の輝きをまといたい、それが女心なのでしょう。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

