後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第160回 昼食は妻がセレブで俺セルフ
2012-02-21
「節電で早く帰ると嘆く妻」。第二十五回サラリーマン川柳の入選作百句中の一句です。
時代を映す川柳らしく、東日本大震災、新型コミュニケーションツール、新アイドルグループなどの新題材が所せましと扱われています。
なかで時代を越えて投稿が多いのは、カカア天下を扱った諸作品。夫を粗大ごみ扱いする妻の姿は、冒頭句でも活写されています。
次の過去の「最優秀作品」にも盛んに詠われています。
「まだ寝てる帰ってみればもう寝てる」(五回)、「いい家内十年たてばおっ家内」(六回)、「ゴハンよと呼ばれて行けばタマだった」(九回)。
「タバコより体に悪い妻のグチ」(一六回)、「昼食は妻がセレブで俺セルフ」、「仕分け人妻に比べりゃまだ甘い」(二三回)。
カカア天下と弱腰の夫は過去の「作品」でも、格好の句材になっています。
「おこらすなママのいかりはパパにくる」、「そびえ立つ妻はわが家のスカイツリー」、「おこるなよ『怒っていない』と怒る妻」。
ヒステリーはいつものこと。「しゅうち心なくした妻はボーニョボニョ」(二二回)。夫はそんな妻と会社の間で戸惑うばかり。
「プロポーズあの日にかえって断りたい」(一三回)と反省しきり。だけど後悔、先に立たず。
会社といえば上司。なかでも標的になるのはイヤな上司。「『課長いる?』かえったこたえは『いりません』」(十七回)。
「ドットコムどこが混むのと聞く上司」(十四回)、「早くやれそういうことは早く言え」(十回)、「『空気読め』それより部下の気持ち読め」(二一回)。
第一生命のサラリーマン川柳は今年で二十五回を迎えます。
二十五周年特別企画で選んだ歴代優秀作品の一位は、「仕事やれ人にいわずにお前やれ」(一二回)というものでした。部下の上司への目はいつの世も「手厳しい」、の一言です。
今回の応募は二万七千百八十四句で、四月下旬にベスト一○を発表するそうです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

