編集部
輸血の話
2010-02-26
献血をされた事があるでしょうか? 多くの方の献血のお陰で毎日沢山の命が助けられています。私たち医療に関わっているものは輸血のお陰で命拾いしている方々を当たり前のように見ておりますが、そうできるのも、自分の血液を見ず知らずの患者さんたちのために喜んで提供してくださる方々のお陰です。
輸血に関する知識、それによる安全性はどんどんと向上していて、それは献血をされるボランティアの選択から始まります。その昔、献血を促すため、献血をされる方々にお礼金を差し上げていたこともありました。皆様もご存知だと思いますが、そうするとあまり献血者として好ましくない人々を呼び込んでしまうので、そのようなやり方は数十年前廃止されました。
今は献血をするにも、とても込み入ったアンケートに答え、患者さんが献血をするだけの体力があるか、また肝炎などにかかる危険因子があるかなどを調べます。それらの審査は結構難しく、アンケートだけでも多くの候補者が献血を許されないほどです。以前、狂牛病がヨーロッパで見つかり話題になったことがありますが、その頃はヨーロッパに最近数年以内の間に住んだことがあるというだけで、献血者としてアメリカでは受け入れられない状態でした。せっかく人助けをしたいという方々が沢山門前払いされているようで、心苦しいですが、それほど、輸血される血液は厳しく選ばれます。
アンケートで合格しますと、採血をしますが、そこで今度は血液の一部が検査に送られ数十目の分野において調べられます。特に厳しく検査されるのは、A,B,C型肝炎、HIVです。まだ完全ではありませんが、お陰で最近では輸血によるそれらの感染率は1/100,000以下と言われています。一生の間、100,000回輸血を受けても、感染する可能性は殆ど無いという計算です。血清などの輸血に関しては、検査された血液をさらに洗浄するため、感染する確率は殆ど無しと言っていいほどです。
輸血を受ける時は大抵、命に関わる危険があるときです。以前はやや危険を伴っても、生きるチャンスを得るために輸血はされてきました。しかし、最近の輸血はとても安全になりました。輸血を万が一ご自身や身近な人が必要となった時は主治医の先生とよく相談をし、献血者に感謝しながら受けられることをお勧めいたします。どうしても納得がいかない時は時間が許す限り、手術などを受ける時と同じようにセコンドオピニオンを求めることも決して遠慮する必要はありません。しかし、緊急事態の場合は側にいる医療関係者に頼り、輸血の安全性を思い出してください。それでは。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

