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特集記事



JANMへ行こう!! vol.13 - 国際人としての知識〜近代史〜を身につけよう
今月のガイド
馬上 直(まがみ なお)さん

東京都 生まれ。1970年代後半に渡米。カリフォルニア州立大学サンホゼ校でアジアン・アメリカン・スタディ メディアのクラスを取り、初めて日系移民史に触れる。日本の大手広告代理店のロサンゼルスオフィスにて勤務、約2年前からJANMのボランティア・ガイドを始める。日本語と英語でガイドをする新一世。日曜日のガイド担当。







 —馬上さんが、ボランティア・ガイドをする中で、印象に残っているエピソードはありますか。

「以前、日本の駐在員のグループがいらっしゃって、ツアーが終わった時に、ハンカチで目を押さえる方たちも多かったです。『知らなくて自分が恥に思いました』とおっしゃった方や『もっと友達を連れてきます』と話してくださった方もいました」


—多くの日本人が日系移民史を知らないと思います。日本では、日系史どころか、近代史自体をクラスで詳しく教えません。

「日本は明治までで、近代史を教えないですね。これは国際人として大きなディスアドバンテージだと、自分も含めて思います。
 これからの国際社会において、日本人が海外に出て行き、何かをするにあたって、近代史を知らないと、何か質問をされた場合に、あやふやな答えしかできないではいけないなと思います。英語やフランス語を話せるとかは二の次三の次であって、近代史とディベートがしっかりできなかったら、国際人にはなれないと思います」


—JANMは近代史についての博物館なので、国際人としての  知識を身につけるのには最適だと思います。
 日系人ボランティアの方々と交流する機会はありますか。


「皆さん、とてもいい方でね、僕なんかよく受け入れてくださって仲良くしてくださいます。
 ある時、ボランティアの一人が、『今はそう思わないけど、昔は自分が日本人であることが恥だった』と話してくれたことがありました。そんなことを僕は考えもしなかったんですが、彼らは自分の祖国の人達(日本人)がアメリカを襲撃して、そのために全てを失い、敵性外国人と見なされて収容所に入れられた経験がある。日系人と我々、新一世の間に“溝”があるのを感じました。
 けれど、この溝を埋めるのは、我々しかいないと思っています。日系人のボランティアのほとんどは日本語を話さないので、我々から行ってお互いのコミュニケーションをとることが、大切な要素じゃないかなと僕は思います。」


—JANMのボランティア活動を通して、戦争によってできた日系人と日本人の間の“溝”を埋めたり、民族間の相互理解を深めたりできるのは、素晴らしいです。

「JANMに来ることで自分では経験できなかった、日系二世や三世の中に入って一緒にイベントをしたり、ボランティアをすることは、とても意義があることです」


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もっと知ってJapanese American!
「二世ウィーク祭り開催地、リトル東京散策③」
ハリウッドを目指して渡米してきたキキとシン。ロサンゼルスで暮らす中で、同じ「日本」という祖国を持つ日系アメリカ人達に興味を持つようになった二人が、今回も、日系人の街「リトル東京」を散策する。


Vol.10に掲載した「日本人、日系人についての意識調査!」で、日刊サンは日本人読者に「日系人に興味はありますか?」という質問をした。「No」と答えた人々は「日系人に接する機会がない」「日本人というよりアメリカ人という感じがする」などの理由が多かった。

日系人は、他のアジア系の移民、中国系、韓国系などに比べて、日本語を話す人々の割合は少ないといわれている。言葉の違いがお互いに接する機会を失わせ、誤解を生じさせているともいえる。これは、日系人が日本文化や日本語を拒絶しているわけではなく、日系人達が過去に直面した歴史が大きく影響している。

ハリウッドを目指して渡米してきたキキとシンは、リトル東京を散策。そして、最後にJANMを訪れた。

二人を出迎えてくれたのは、新一世のボランティア・ガイド、田島喜八郎さんだ。

田島さん「多くの日系人が日本語が話せないという理由で、日本人が、彼らを日本人らしくない、あるいは、冷たい人達だと思ってしまうのは、とても残念なことです。彼らは日本人ではなく日系アメリカ市民ですから」

キキ「どうしてですか?」

田島さん「日系人と日本人の関係はそれほど単純な構図では計れません。日系人が19世期末の移民時代から受けてきた、色々な人種差別が大きな要因です。アメリカの白人とは、肌の色が違う、話す言葉も習慣も違うので、そこから差別や偏見が起こってしまうのですが、その最たる出来事が、太平洋戦争中に起こった日系人の強制収容でした。

日本がハワイ真珠湾を攻撃したことをきっかけに、アメリカ政府は日系人の行動を警戒し、彼らを強制収容所に隔離してしまったのです。これを契機に日系人はアメリカでアメリカ人として生きる選択を迫られました。
日系2世は、アメリカ人として兵隊に志願し多くの犠牲を払いましたし、日系一世は、二世にアメリカの英語教育を受けさせるように努力しました。そうすることで、アメリカへの忠誠を示し、差別を免れたわけです。しかし、彼らは、日本国や日本人を恨んだり、責めたりは一切しませんでした。日本人の誇りは忘れず、日系アメリカ人として生活することを選択したのです」

シン「そういうことって、戦後に日本から来た人にはわからないですよね」

田島さん「はい、戦後、高等教育を受けた二世、三世が、政治家や弁護士などアメリカの中枢に入っていく中、日本から新たにやってきた日本人との接点は少なくなりました。そうした結果、不幸にして互いの誤解も生まれたのではないでしょうか。
しかし、戦後、日系人がアメリカ社会で活躍することで、日本のイメージが守られてきたという事実もぜひ知ってほしいです。彼らは日本人としての誇りを持って、力強く生きており、日本人が学ぶことが多くあります。アメリカは日本国の民度、経済力を認めていますが、日系人を通して日本という国を見ていることも確かにあるのです。今後は日本人と日系人が、ちょっとしたきっかけ、出会いを通して、お互いに尊敬と敬意を持ったおつきあいができるといいですね」


Kiki Sukezane 女優。ハリウッドで歌や演技を勉強中。
清水紳一郎(シン)俳優。TV、インディーズ映画に出演。映画・舞台で活躍。

写真 TOMO KAWATE,  文・構成 JUNZO ARAI, TOMOMI KANEMARU, SHOTO ONISHI,   TOMOYO EITOKU,    監修 MITSUE WATANABE(JANM)


JANMに行くと日刊サン読者にプレゼント!

入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、先着50名にNITTO TIRE特製バッグを、読者来館者に日系移民史ドキュメンタリー「知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人」のDVDをプレゼント。
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。





JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。

100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)

★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645

2013/08/24 掲載

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