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第9回 ポエム・タウン
<【川柳】テーマ「手紙」「掃除」「未来」>
半田俊夫選 亡き夫(ひと)のメモ書き今は宝物 石口 玲
日刊サン選 断捨離をまだ迷ってるラブレター 京乃一人琴
TJSラジオ選 手紙より時代が変わるイーメール 中村ミエ子
ゲスト選者 林家彦いち選 2インチ幅未来を担う孫の足 今尚夢子
佳作 拝啓と書いてつづきは明日の晩 小池美代子
佳作 ロボットに掃除をまかせ昼寝する キョウコ・ヤマムラ
佳作 掃除して部屋がピカピカいい気持ち 白形小菊
選者のことば
生前は生活の中で夫婦でよく交わし合ったメモ書き。夫が往ってふと見つけたメモ書きは最早内容の如何に拘らず亡夫の貴重な形見となった。それだけでなくその内容から当時の色々な情景ややり取りまでよみがえる。「亡き夫(ひと)の―」は、宝物となったメモの愛しさ、懐かしさ、切なさが伝わる秀作。
「拝啓―」は、人に手紙を書かなければならず先ず拝啓と書いたが後が全然出てこない。仕方ない続きはまた明日の晩に考え直すとして寝ようか。結局明日もまた新規に苦労し直す訳だがこれよくあること。それを軽妙にまとめて微笑みを誘う作です。
ロボット掃除は昔は夢だったこと、機械登場以前の時代だったら夢にすら思わなかったことが現実になった。早速これをちゃっかり実行するこれも実行力ですね。いい夢見ましたか?ゆったり楽しい人柄が浮かぶユーモラスな味わいの作です。
「掃除―」はそのとおり、思いっきり掃除して一段落、よくやったーと達成感で満足する気分が良く表現されている。ピカピカの一語が実感を出し文字通り光っています。部屋だけでなく心まですっきりと光る気分のいい句ですね。(半田俊夫)
近年よく話題になっている断捨離 。不要な物を断ち、捨てることで執着から解放され身軽で快適な生活が送れるというが、やはり人はなかなか捨てきれない物が多い。特に人から頂いた手紙ラブレターとなると悩む気持ちがよく分ります。とても共感出来る川柳です。(日刊サン)
イーメールが片仮名表記なところが川柳らしく、良いメールがEメールで届くと良いなと思い選びました。昨今、手紙がいつ届くかとポストマンを待ち受けることも少なくなりましたが、いつの時代もメールは受け取る方に想いを馳せて書きたいものです。時代の変化、便利さも享受しつつ、“良い”頼りが交差する、そんな時代に変わっていくことを熱望します。(TJSラジオ)
いやぁ悩みました。風景から現代を穿った切り口、年末のせわしなさ、寄る年波に勝てないことを笑い飛ばす句まで楽しませていただきました。三句まで絞ったのですが、これまで聞いたことなく、希望があるもので楽しい・・・悩ん結果、それ以外から選びました。字数が微妙ですが、それを上回るインチでした。一寸半やセンチではないところがなんともおかしみがありますね。頼んだぞ、世界の2インチ幅のみんな!(ゲスト選者・林家彦いち)
川柳 ゲスト選者
林家彦いちさんプロフィル
鹿児島県出身。1989年国士舘大学文学部中退後、初代林家木久蔵(現・林家木久扇)へ入門。2002年春真打ち昇進。 出版物も多く、読売新聞に連載していたコラムが、高校入試問題に採用。新作落語を得意とするアウトドア派の落語家。ウェブサイト http://www.hikoichi.com/
<【川柳】日刊サン選「スポットライト川柳」>
少子化でスポイルされた子の未来 高峰みち子
占い師未来占う無責任 本めぐみ
欲は消え望みはひとつ健康に 福地寧々(ふくちねね)
大掃除心までもがさっぱりと タミー・米田
代筆はバレやしないぜ Eメール 詩月直竹
捨てられぬセピアの色した母の文 宇都 湖畔
掃除する男やもめも板につき アリス・ウチ
金送れ読まずに分る子の手紙 永沢 卓
人生の賞味期限記載なし 鈴木ロジー
開けるのが怖く樂しい子の手紙 関野和男
老眼鏡かけて掃除のやり直し 榊原フジ江
お姑さんまあるく掃除わたし流 ローペス文子