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第7回 ポエム・タウン

<成人の部 俳句区>


嶋 幸佑選     リンと立つ父の背中やアユ解禁     榊原フジ江

日刊サン賞    藍ゆかた碧き眸に似合ひけり    塚本 惠

TJSラジオ選  こほろぎの我家とばかり跳ねる居間      生地公男

ゲスト選者 山口淑子選   紫陽花やうれひ含みて雨けむる   榊原フジ江

佳作      呼び寄せの来し方語る日の盛り      鈴木ロジー

佳作      うすごろも羞らひながらピヤスとる   ロ―ペス文子

佳作      渋滞の車なだめる夕焼雲(ゆやけぐも)   塚本 惠


成人の部 選者のことば

「リンと立つ―」。保護策の一環として、産卵期から仔魚の育成期にかけて漁獲が禁止されている鮎。五月中旬から七月にかけて解禁となるが、その当日には大勢の人々が人気の河川に押し寄せる。この句の作者の父親も、解禁日を待ちに待っていた。ゴムズボンを穿いて川の流れの中に立つ父親。それを満足げに見つめる作者。川の流れも聞こえてくるようだ。ただ、「凛」と「鮎」は漢字にしたい。

「呼び寄せの―」。初老の方か。「日の盛り」とあるから、場所は屋外。ピクニックか何かの催しだろう。そこで一緒になった古き友と木陰で、呼び寄せで渡米した頃からの道程を、懐かしげに語り合っている。その作者の心が伝わる一句。移民史を生きる人ならではの作品だ。

「うすごろも―」。女性が男性と会う場面を想像した。ピヤスをとったのは会う前のことだろう。ちょっと若作りして、薄着で出掛けたのだが、思い直してピヤスを外した。「羞らひながら」の心の動きが微妙にうすごろもとピヤスに共鳴した。

「渋滞の―」。ロサンゼルスに住んでいれば、誰でも感じることだ。いらいらしながら見上げた空。そこに大きく広がるきれいな夕焼け。南加の夕焼けは雲をピンク色に染める。車だってなだめられているのだと、心を落ち着けようとする作者であった。(嶋幸佑)

「藍ゆかた―」は、アメリカで感じる夏ならではの句だと思います。近頃は夏のイベントでゆかたを美しく上手に着用してくれている外国の方も見かけ海外で日本のゆかたを見かけるのは嬉しく誇らしいものです。この句を読んでそんな気持ちと共に微笑ましい夏の光景が目に浮かびました。(日刊サン)

障子と縁側がある、懐かしい日本家屋が目に浮かび、一匹のコオロギに、おじいちゃん、孫、そしてお母さんなど3世代くらい揃った家族が皆で大騒ぎしてしまう、そんな楽しい日本の古き良き時代が、この十七音で蘇りました。騒ぎが収まった後は、家族みんな揃っての夕食でしょうか。自然との共存が難しくなってしまった今も、コオロギが楽しさを運ぶ存在であり続けてほしいと願うばかりです。(TJSラジオ)

紫陽花は七月の季語として歳時記に出ています。初夏の頃に咲くアジア産の花として知られていますが常夏のような南加、そして雨の少ないところで雨にぬれた紫陽花をうまく表現していると思います。 “うれひ含みて”は作者の感じでしょうが紫陽花の花ことばにもあるように紫陽花は高慢にも見える程絢爛と咲くようにも見えます。そして美しいけど冷淡だとも又色の変わりいく紫陽花は浮気の花とも云われます。 作者は“うれひ含みて”と感じ、小雨を“雨けむる”と表現しています。紫陽花を眺めている作者の心情が伝わってくる一句です。  (ゲスト選者・山口淑子)


<青少年の部 俳句区>


今回は応募者がいませんでした。次回は、乞うご期待ください!

俳句区ゲスト選者
山口淑子さん プロフィル
兵庫県西宮市出身。Pierce Collegeで日本語および日本文化の講師を務める。南加日系婦人会副会長。日系パイオニアセンター副会長で、同センターでは、アメリカ市民権クラスとシニア健康講座を担当。





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