ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など
第5回 ポエム・タウン
<成人の部 俳句区>
優秀賞 ぼんぼりにゆらぐいにしへ雛の宵 金子ミツ江
日刊サン賞 たんぽぽの綿毛つかんで世界たび 榊原フジ江
TJSラジオ選 乙女らの含み笑いや桜餅 古賀由美子
ゲスト選者 生田博子選 寒天に突き刺さりおり椰子並木 詩月直竹
佳作 春暁や恋知り初めしお下げ髪 文子ローペス
佳作 乙女らの含み笑いや桜餅 古賀由美子
佳作 異土の梅仰ぎ傘寿の背に力 塚本 惠
成人の部 選者のことば
「ぼんぼり—」の句。「あかりをつけましょぼんぼりに」で始まる童謡「うれしいひなまつり」が聞こえてきそうだ。
この句、「ゆらぐいにしへ」という措辞がよかった。少し暗くなってきたので、ぼんぼりをともした。雛壇がうっすらと照らしだされる。それを前に、一つひとつ雛人形に目をやる作者。恐らく、自分が過ごしてきた雛祭りを思い出しているのだろう。そのうち、思いはぼんやりと、雛祭りの歴史に馳せていった。「ゆらぐ」が、そんな心の雰囲気をうかがわせている。
そして「雛の宵」の効果である。雛飾りは、やはり薄っすらと暗くなって、灯をともしてからの方が風情があるようで、「薄闇のにほやかなりし雛かな」(日野草城)「本堂のみ仏の燈も雛の宵」(山口誓子)などの句がある。
佳作のうち、「異土の梅仰ぎ傘寿の背に力」は、異国に生きてきた八十の作者から力をもらった。(嶋 幸佑)
「たんぽぽの—」の句から、どんな旅になるんだろうと、想像が膨らみました。小人になって、綿毛につかまりながらフワフワと風に揺られて、どんな世界が見れるでしょうか。春になって表に出てきた虫や動物たちとの出会いも待っているでしょう。きっと、今、暮らしている場所も、全く違った世界に見えるんだろうなと、フフフッと思わず微笑んでしまいました。(日刊サン)
夏目漱石の「坊ちゃん」に出てくるマドンナのような乙女が春の日に桜の木の下で談笑している風景が浮かびました。昨今は「乙女ら」よりも「女子会」ですが、この句のように恥じらいを含んだ可愛らしい“含み笑い”を忘れずに、乙女の皆さん、花より団子と行きましょう。(TJSラジオ)
「椰子の木」といえばのどかに風に揺らく南国の椰子の木を連想するが、寒天に突き刺さりおる椰子とは厳しい風雪に耐えて高く聳える姿がまるで苦行僧のようにさえ思えるという迫力ある心情に共感した。人それぞれに与えられた生涯を寒天の椰子の如く凛として信念を通したいもので、 ダイナミックで清々しい一句です。(ゲスト選者・生田博子)
<青少年の部 俳句区>
嶋 幸佑選 豆まきでまどを開けたら星きらり 優塾 山崎光夏 小学五年
ゲスト選者 生田博子選 バレンタインチョコを作るの楽しいな 優塾 山崎光夏 小学五年
青少年の部 選者のことば
「豆まきで—」の句。節分の豆まきを家族そろってしたのだろう。大きな声で「おにはーそと、ふくはーうち」と豆をまき、鬼が外に出るよう窓を開けた作者。その途端、作者の目に星が飛び込んできた。
豆まきという「行事」と、星という「天文」の取り合わせがよかった。豆をまくという「動」と、きらりと光る星の「静」である。なかなかの俳人であるようだ。(嶋 幸佑)
年毎にめぐりくるパレンタイン、さまざまの「愛を贈る」この日、幼い子等が手造りのチョコにこめられた憶いが、ほほえましく、無邪気な指先、真剣な眼差しが目に浮かぶ。 日本語の持つ奥深い叙情性を身につけ、それを更に磨く俳句づくりは老若男女を問わず豊かな生活づくりに直結している思った。楽しいなで一層可愛らしさを滲ませた。(ゲスト選者・生田博子 )
俳句区ゲスト選者
生田博子さんプロフィル
岡山県出身。平成19年11月叙勲。米国書道研究会会長。産経国際書会副会長。東京誠心社客員顧問。書道研究誌に手本執筆。南加日系婦人会会長。表千家同門会米国南加支部顧問。表千家茶道教授。