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日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

第4回 ポエム・タウン

<成人の部 俳句区>


優秀賞     出を待てる喜怒哀楽や初暦     塚本惠

日刊サン賞   真白なる初富士胸に羅府に住む     野島弘子

TJSラジオ賞 丸い餅三角四角で年が明け      金子ミツ江

ゲスト選者賞  湯豆腐の湯気の向こうに母がいる   すずききよし

佳作      初茜シエラ嶺響動む鼓笛隊      鈴木ロジー

佳作      京菓子の淡き彩どり春近き   野島弘子

佳作      大仏も痺れ座に待つ花便り   生地公男


成人の部 選者のことば

一月は、やはり新年の句に共感を覚えがち。そんな中、「出を待てる—」は、新しいカレンダーを掛け、それを前にした時の心膨らむ思いが伝わる句。だが、それだけではない。喜怒哀楽が出番を待っているという措辞に、作者の決意のような心境がうかがえる。喜びや楽しみだけではなく、怒りであれ哀しみであれ、出番というものがある。それならば、どのような出来事の出番が回ってきても、それをしっかりと受け止めていこう—。そんな、新たな年に際しての作者の心持ち。切字の「や」が効いた。

「初茜—」は新年のパレードの風景を詠んだものだろう。昇ってきた日に染まる空の下、シエラの嶺にまで鼓笛隊の演奏が鳴り響いていく。新年ならではのすがすがしさが広がる。「京菓子—」は春を待つ心を淡い彩りに、「大仏—」は花を待つ心を座す大仏に託した目の付け所がよかった。(嶋幸佑)


遠く故郷の日本を離れ海外に住む私たち。「真白なる—」からはどんな時もどこに住んでても故郷を忘れない強い思いが伝わってきます。弊紙でも今年も新年に富士山の記事を掲載しましたが、筆者のように初富士を目に浮かべ同じ思いの人がたくさんいるのではないでしょうか。羅府に住むたくさんの人が共感できる一句だと思います。 (日刊サン)


「丸い餅—」で、喜怒哀楽、いろいろあった一年365日が総括されている気がします。また、リズミカルな中に奥深さ、哲学を感じました。また二〇一三年も丸かったり三角だったりして一年が過ぎていくんでしょうね。 (TJSラジオ)


気取らない身近な生活の折節を捉えた秀作が多く一句だけを選ぶのは楽しくも苦しい作業だった。趣き豊かな句、川柳的ユーモアの句など色々で多くの俳人の存在は嬉しい。さて「湯豆腐の—」この句、寒い冬の一夜、湯豆腐を作った。温かい湯気が上がる。その向うに母がいる。何と温かい日本の原風景か。この母は本当にそこにいるのではなく、心にいる母が湯気の煙る向うに浮かんでいるのだ。湯気でぬくもった目に温かく涙が滲み母の像が揺れる。 (ゲスト選者・半田俊夫 )


<青少年の部 俳句区>


優秀賞     春が来て私の前で桜咲く
サウストーレンスハイスクール いまの さえ 15歳

日刊サン賞   バイオリン生き物の音春の歌
サウストーレンスハイスクール 日野わくや 14歳

TJSラジオ賞 春が来るリスが走って花が咲く
ソーテル日本学院上級 キンテロきせき 13歳

ゲスト選者賞  夏祭りデカイ花火が咲きました
サウストーレンスハイスクール 進藤愛純 16歳

佳作      お雑煮を食べると浮かぶ祖母の顔
ソーテル日本学院上級 グレースマン絵里香 13歳

佳作      桜の木雪で重たい春を待つ
ソーテル日本学院上級 ホサポ妃美 12歳

佳作      冬の夜飼い犬思い涙する
ソーテル日本学院上級 北村健一 16歳


青少年の部 選者のことば

「青少年部」には今回、計七十五人から百三十一句の応募作品が届いた。実を言うと、一般の作品よりも、子どもたちの作品の方が、選考が難しい。子どもたちの作品は、言いたいことがはっきりしているか、言葉の選びがその子らしいか、観察する力があるか—という点を見ていくことが大切であるようだ。

「春が来て—」。桜が私の前で咲く。こんな発想は、大人たちには絶対にできないだろう。咲く桜の威容への驚嘆、賛美。それが思わず「私の前」という表現になった。

「冬の夜—」。作者はベッドの中で外にいる犬を思っている。寒い夜。犬を思う子どもの心が伝わる。「お雑煮—」は、恐らく、正月に日本に行き、祖母と一緒に食べた雑煮を思い出しているのだろう。読む者の心に、同じような思い出が蘇る。「桜の木—」。雪で枝が重そうにしている。春を待つ作者の気持ちが、その枝に共感した。(嶋幸佑)

冬眠していた生き物たちが目覚め静かなる冬から賑やかな春へ。バイオリンが軽やかに生き生きと音を奏でるように春にいろいなものが動き出して爽やかな音を描く。春の始まりのそんな情景が感じられる句です。 (日刊サン)

まるでメロディーにあわせて街が春色のパステルカラーに染まっていくかのような素敵な一句で大好きです。季節の移り変わりがやんわりとしているロサンゼルスに軽やかに、そして楽しくて、素敵な春がいっきに来そうです。(TJSラジオ)

夏祭りの夜、頭上に広がった花火をそのまま歌った豪快で大きさのあるのが魅力。夏の夜の浮き立つ気分、夜空一杯に炸裂する鮮やかな花火、人々の興奮と感動と歓声、やはり日本人の夏の原風景が生き生きと浮かび上がり童画のように迫ってくる。的確な言葉が続き一言の無駄も無い中に「デカイ」が生きている。花火のドーンという音も聞こえるようだ。読むだけで自分をその場に運んでくれる力を感じさせる。若々しい目、表現力が力強い。 (ゲスト選者・半田俊夫 )


俳句区ゲスト選者
半田俊夫さんプロフィル
東京出身。日本語に思いあり。現在パサデナセミナー会、LA東京会、裏千家淡交会OC協会、命の電話友の会などの会長を務めている。2009〜11年の南加日系商工会議所会頭。




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