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第22回 ポエム・タウン
<成人の部 短歌 入賞作品>
西岡徳江選 荒涼な大地の果ての塩水湖太古の海に思いをはせり たなかきんいち
佳作 飛行機は時空の中をおよぎいる乗り込むわれは宇宙の旅人 工藤紀美子
佳作 半月に身をかがませる菜園に胡瓜(きゅうり)も曲る青空たかし 岡本啓三郎
岩見純子選 荒涼な大地の果ての塩水湖太古の海に思いをはせり たなかきんいち
佳作 飛行機は時空の中をおよぎいる乗り込むわれは宇宙の旅人 工藤紀美子
佳作 朝露に光りの使者が宿りきて明るき春の雫を描く 岡本啓三郎
選者のことば
―選者・西岡徳江
短歌には具体性が大切だ。1首のなかに具体的な事物を入れることで、歌に個性が生まれ、歌が輝く。うれしい、楽しい、悲しいなどの感情は入れず、それを他の言葉で表現してみよう。ずっと詩的な表現になる。
「荒涼な―」。雄大な景色の果てに広がる静かな長い時間を詠う。今は荒涼となった大地に、自然とともに生きた人間の営みさえも想像させる。
「飛行機は―」。“宇宙の旅人”と詠んだことで、一層、飛行機の旅への未知や夢をも表現できた。童心のようなワクワクとした期待感があり、良い旅ができたことだろう。
「半月に―」。作者が胡瓜のように身をかがませている菜園の光景だが、どこかユーモアがあり、健康的だ。結句を“青空たかし”と表現したことで、視点を地上から天へと広く移動させた。
―選者・岩見純子
今回はとてもユニークで個性的な歌もあって、楽しく選歌をした。また、数首の中には、明らかにアメリカのことを「この国」とされていた歌もあった。はっきりと、「アメリカ」とした方が、読者によく分かっていいと思う。
「荒涼な―」。 荒れて物寂しい大地の果ては塩水湖。太古には、この大地は塩水湖に続く海だったのだろうと、思いをはせながら佇んでいる作者が見える。言葉選びもリズム感もいい秀作。
「朝露に―」。 「光の使者が宿りきて」と「雫を描く」に注目した。読者の気持も明るくさせる歌。
「飛行機は―」。 異次元の幻想的な歌。作者はこの歌のような夢の中にいるのかもしれない。