ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など
第22回 ポエム・タウン
<成人の部 俳句 入賞作品>
嶋 幸佑選 七夕の願い溢れて二枚目に 鈴木ロジー
佳作 信心も花も八分に大師堂 生地公男
佳作 振り向かぬ友を見送る夏の月 野島弘子
佳作 街を行く白き帽子に夏光る 麻生三晴
日刊サン選 夏祭り記憶の向こうにふる里が 鈴木清司
TJSラジオ選 彼岸花古老ゆるりと墓の道 生地公男
選者のことば
―選者・嶋 幸佑
今回も詩心がうかがえる句が目立ちました。その半面、やはりまだ、説明や報告から脱しきれない句もあります。季重ねも気になりました。
報告というのは、例えばこんな句。私が俳句を始めたころの句です。「三世が踊る姿や鮮やかに」。二世週祭で、年少の三世(実際は四世か五世でしょう)が踊っている姿に感動したのですが、それが伝わってこないため、報告だけになってしまいました。一人で感動していないで、少しは「鮮やか」を具体的に示して、と言いたくなりませんか。
今回の「七夕の―」。「溢れて」に、願いを書きとめている素直な心が見えます。そして「二枚目に」がその心を可視的なものにしました。
「信心も―」は、信心がまだ十分でない自分を八分咲きの花に掛けたのですが、それでも、満開を迎える時期を焦らず待つ花のように、信心八分の今の自分に満足している作者です。
―選者・日刊サン
今回も素敵な句が多く選ぶのに苦労しました。
「夏祭り―」。情景を通して読み手の心情が伝わってくる一句です。夏の香りやふとした景色から郷愁を覚えた作者の真っすぐな気持ちが詠まれており大変味わい深いです。「振り向かぬ―」の句は今は亡き友を月に重ねて詠まれた素敵な一句でした。
―選者・TJSラジオ
みなさんがよく勉強されているのをいつも感じ、改めて日本語の奥深さを感じています。日米の季節を知るみなさんの一句、楽しみにしています。
「人生を達観」、そんな言葉とともに、秋の夕暮れが近づくひとときの不思議な空気が流れる、そんな光景が目に浮かんできました。あの世とこの世をつなぐ花とも言われている彼岸花が俳句の光景の中に良いコントラストを与えています。