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第18回 ポエム・タウン
<成人の部 俳句 入賞作品>
嶋 幸佑選 薄すりと今朝は紅さすてまり花 麻生三晴
佳作 鳴く蝉や知覧の空の青青し 生地公男
佳作 母の味しのぶ夕餉にきうりもむ 内 アリス
佳作 面談や思案あれこれ夏の果 浅子 恵
日刊サン選 夫婦でも分けてサッカー夏の陣 那智高雄
TJSラジオ選 夏の川風をそだてしうずをまき 内 アリス
日刊サン選努力賞
俳号に似合はぬ紳士鬼城の忌 鈴木ロジー
端居して里の話題のはてしなく 野島弘子
あの女の後姿に蜃気楼 鈴木清司
つぶつぶと粒を嚙み舐め実石榴かな 永田成毅
玉音を聴いた人達もぅまばら 詩月直竹
梅干やここまで来たとふり返り ローペス文子
二つ三つ蛍灯ともす四つ五つ 麻生三晴
選者のことば
―選者・嶋 幸佑
今回は夏の句が目立ったのですが、てまり花の句は、藤田湘子の説くところの「今」と「点」が鮮やかです。作者は毎日、このてまり花を見ていたのでしょう。しかしある朝、本来は白いこの花に薄っすらと紅がさしていた。それに気付いた今が「今朝」、てまり花の紅が差しているところが「点」です。
「鳴く蝉―」の知覧は、特攻隊の出撃地があったところですね。多くの若者がこの地から飛び立っていきました。蝉の声に無常を覚えている作者。上五は「蝉鳴くや」とした方が感慨が強まるように思いました。
「面談―」の句の季語「夏の果」。歳時記に「暑さの衰えかけた印象もあるが、実際は酷暑の時期」とあります。夏の終わりを惜しむ感覚と、実際の暑さとが、あれこれしている思案の「今」をとらえています。
季語は俳句の命。歳時記にある例句を十分に味わって、季語を自分のものにすることが大切です。
―選者・日刊サン
第二次世界大戦にまつわる俳句に興味が湧きました。それぞれに感じることが多かった終戦の夏です。
戦いは戦いでも「夫婦でも―」はサッカーの国際試合でしょう。国際結婚をされた夫婦がそれぞれの出身国の代表チームを応援する場面が浮かびました。2015年夏、日米の女子サッカー代表が戦った決勝戦。普段は仲がいい夫婦でも友人でも、この時はお互いにゆずれないんですよね。勝って嬉しいはずなのに、なんとなくバツが悪かったり、負けると悔しい…。けれど試合の後は互いの健闘を褒め称え合いたいものですね。海外で暮らす家族感が出ています。
―選者・TJSラジオ
青々と茂った木々の間を流れる川、時には激しく、時には緩やかに流れるその川が、渡り来る風と戯れるかのような一場面。そんな爽やかな川面の風景が目に浮かびました。きっと夏の懐かしいあの風景を思い出す時、こんな風が吹いているのでしょうね。