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第13回 ポエム・タウン

<成人の部 短歌 入賞作品>


西岡徳江選   箱庭に大海ありて山河あり月の光に夢は漕ぎ出す   たなかきんいち

佳作   穏やかに寄せ来る波間を駆け出せば鳴き砂キュキュと追いかけて来る   島原靖子

佳作   うちしおれ伏し目に歩く畔道に白つめ草の四つ葉みつけり   麻生三晴

岩見純子選   生きている私を支う夫子いてそれに連なる人の顔顔   シールス由利子

佳作   星になり君見守ると云いし人ひたに懐かし七夕の宵   麻生三晴

佳作   やわらかく真白き花の夕顔は闇に生ずる天使の如し   キャシー中原

ゲスト選者 岩田明隼選   健康は有酸素運動一番とテレビで知ればせっせと歩く   工藤紀美子


成人の部 選者のことば

―選者・西岡徳江

短歌の形に歌ができたら、しばらく寝かせておくのも良い方法です。第3者の観点で歌が評価できます。良い作品をたくさん読み、どのようにしたら詩情豊かな作品に仕上がるか、身につけるのも大切です。
「箱庭に―」“箱庭に宇宙あり”はよく言われますが、月光を浴びて夢を漕ぎ出すところに、ロマンが感じられます。美しい詩となりました。
「穏やかに―」。動きとリズムがあり、若さが感じられます。砂浜に鳴き砂を表現したことにより、音が生きました。
「うちしおれ―」。幸運な四葉のクローバーを見つけた作者のときめきが伝わってきます。小さな草花にも幸せを感じる作者の生き方がいいです。

―選者・岩見純子

応募短歌を読んでいると、投稿者一人一人の人柄や気持が伝わって来る。そして、今ではほとんど使われない漢字にも出会う。漢字選びの難しさを感じた。
「生きている―」 四、五句の表現はとても上手い。「顔々」ではなく、「顔顔」としたのが利いている。
「星になり―」 七夕の宵だから、星になった人がもっと懐かしく思われたのでしょう。一年に一度でも天の川を渡り、会いに行けるといいですね。
「やわらかく ―」 闇の中に浮ぶ夕顔は、真白な衣の天使のように見えたという幻想的な歌。四句の「生ずる」が少し気にかかった。

―ゲスト選者・岩田明隼

現代の状況を表している短歌と古典的な短歌の双方があるように見受けられた。また、作者名もすべてが漢字である日本風な名前とカタカナが混ざった外国風の名前の2種類があることが分かった。
この短歌は大きく対象化された状況があることがわかる。1つはテレビを見て、何一つエネルギーを消費していない、活力が皆無の状況である。そしてもう一つは、有酸素運動を行うために激しく歩いている状況である。この明暗がはっきりとわかる状況はこの短歌の大きな特徴であると言える。


<日刊サン選 スポットライト短歌>


大げんか小げんか交え長し子の笑って語る家族の集い    生地公男

富士山の世界遺産のトップ継ぎ食の文化と富岡製糸   鈴木ロジー

愚痴言うな感謝の気持忘れずにきらく生きろ人生一度   井上三重

ワイヤレス電話片手の家の中しゃべる歩くの一石二鳥   芙佐子スティヴンソン

日本語と英語の本を読む我の二倍になりし至福の時間   石井志をん

薄れ行く花の名・花の記憶など遠くなりたる父母の記憶も   神野豊子

神いればホームレスたちいない筈天災被害者出ない筈じゃが 詩月直竹

逆境に負けぬ強さと思いやりそれがあのコに恋する理由   古賀由美子

友旅す何もいらぬと送り出すお土産話で結構ですよ   ワーレス信子

旱魃の真茶の平野地平線沖縄通る暴風にくし   那智高雄

三時間時差の彼方の東岸の昼の野球を西では朝聴く   古田和子


短歌 ゲスト選者

guest-haiku

岩田明隼プロフィル

関西学院大学国際学部3年生。趣味はバスケットボール。英語が堪能で過去に留学経験あり。今年の夏休みを利用してアメリカにある日系企業にインターンシップへ渡米した。




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