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第12回 ポエム・タウン

<成人の部 短歌 入賞作品>


岩見純子選 海底を露(あらわ)にして数億年はや暮れ初むるアリゾナの山   堀 勝

佳作 消さないでほしい光りをときめきをあきらめないで生きてください   古賀由美子

佳作/西岡徳江選
この春を生きた証しにれんげ草ひと茎摘みて押し花にせん   麻生三晴

佳作 見上ぐれば曇り空にも眩しさがありて必ず飛ぶもの見ゆる   古田和子

佳作 満天の星が見下ろす石畳ゴッフォ描きしカフェテラスの如   石井志をん

ゲスト選者 小山信吉選   次々と咲き増す椿その影に小枝にすがる花残骸も   シールス由利子


成人の部 選者のことば

短歌の上達には長く作歌を続けることが秘訣。続けているうちに、いろいろなことを体得する。今回の応募短歌には、一首の中に漢字が多過ぎ、歌が硬い感じになったものがあった。漢字とひらがなを適宜に交えることを勧める。

「海底を―」 雄大な着眼を頂いた。二句の「露(あらわ)にして」は一字足らないが、この場合は気にならない。(岩見純子)

「消さないで―」 この歌の、何かを伝えたい、何かを聞いて欲しいという気持が、私の心に強く残った。(岩見純子)

「この春を―」 一、二句が佳。素直なやさしい歌。(岩見純子) 



表現しようとする内容の焦点を絞って、余りたくさんの事柄を盛り込まない方が良い。説明的になってしまう。短歌は盛り込むのではなく、どこまできる切り捨てるかで作品の良さが決まる。

「この春を―」 。生命への清澄感がある秀歌。押し花という行為に輪廻にも似た命の賛歌が感じられる。(西岡徳江)

「見上ぐれば―」。広大な曇天の静のなかに見つけた小さな光る動、鳥や飛行機だろうか。視点が面白い。大小、動静の対比も良い。(西岡徳江)

「満天の星が―」。下句の比喩が個性的だ。石畳からゴッフォの絵画を想像する豊かさが良い。(西岡徳江)



私は永年のガーデニング(庭園業)の仕事に明け暮れておりますので、この度投稿された歌の中の多分ご職業が私同様にガーデナー(庭園業)を職業なされている人ではないかと思われるような歌には、特に興味を以って実感として理解できる秀作、佳作がありました。永年の経験上庭の草木との語らい、花々との心の交流、生きている植物たちへの思いやり等むしろ花々や草木が自分に向かって何かを語りかけている日常の実感を短歌に取り入れて表現できる歓びを持ち合わせている人たちの素晴らしさをつくづくと実感いたしました。
私の家の庭には椿の木が15種類ほどあり、11月から4月までの冬の間、椿の花を楽しめます。椿は花のまま「ボトン」と地面に落ちるので、元気な方が突然に亡くなるようだと嫌う人もいますが、お茶室でも使われるように品のいい花で、私は好きです。「次々と―」の作者は椿が本当に好きで、観察力の鋭い方ではないでしょうか。「花残骸も」の部分から、椿の花の散り方が容易に想像できます。 私は庭師なので植物と日々親しんでいますが、関心しました。終わる春を惜しんだ素敵な一首です。(小山信吉)

短歌 ゲスト選者

小山信吉さんプロフィル

福島県二本松市出身。1967年渡米、庭園業を営む。また日系社会のため数多くの奉仕活動を行なう。1983年~84年、ソーテル日本学園理事長。1999年~09年、福島県人会顧問。2006年~08年、南加庭園業連盟会長。2007年、関三脚さん編 「川柳に残る。ガーデナー風雲録」を南加庭園業連盟より発行。2012年~14年、南加庭園業連盟が戦前より発行している「ガーデナーの友」の復刻版とDVDを製作中。現在は南カリフォルニア昭和会会長。また2007年、福島県知事より特別功労賞受賞。2009 年、大日本農会より緑白綬有功章受賞。



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