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第12回 ポエム・タウン

<成人の部 俳句区 入賞作品>


嶋幸佑選   ジャカランダ花ふりしきる迷ひ道   ウィルソン千恵子

佳作   細き腕じっと見つめし春の風邪   ローペス文子

佳作   八十の老女若やぐ花の宴   内 アリス

佳作   日系の軒端に泳ぐ鯉のぼり   詩月直竹

日刊サン選    菜の花の咲き満つ丘や茜雲   ウィルソン千恵子

TJSラジオ選   人生もうまくおよげぬこいのぼり   鈴木清司

ゲスト選者 高橋哲夫選   遠雷に呼ばれるごとく風立ちぬ   平 凡人


成人の部 選者のことば

個人的な話だが、私は昨年「ジャカランダ百句」に挑戦した。とにかく、多作多捨。作るそばからどんどん捨てていった。何とか百句に到達したが、推敲して最終的に残った句はほんのひとにぎりだった。そんなことがあったせいかもしれない。(嶋 幸佑)

「迷ひ道─」のジャカランダの句に目を引かれた。この迷い道は、迷いそうな道のことでもないし、そんな道を行き、迷ってしまったわけでもないだろう。作者の心の中にある迷いなのだ。どんな迷いかは分からないが、重大な迷いではない。そんな迷いを胸に、迷わずに降りしきるジャカランダの下を行く作者。迷うことを楽しんでいるかのようにも思えるのは、ジャカランダのせいだろうか。(嶋 幸佑)

「細き腕─」。風邪をひいてベッドに横になっているのだろう。外は浮き浮きする春の陽気。元気なら出かけたいのに、なにもできない自分がもどかしい。何気なく腕を見つめた。家族を、そして自分を支えてきた腕。ふと、そんな自分の来し方を思い浮かべている作者。物憂い気持ちの中に、また春を迎えることができた満足感も漂う。春の風邪だからこそのアンニュイがある。(嶋 幸佑)

「八十の─」。花見で昔話にわく様子が見えてくる。(嶋 幸佑)

「日系の─」。この軒端は、自分の家のそれではない。そして、軒端に泳いでいるのだから、さほど大きくはない鯉幟だろう。作者はそこに、日本の文化・風習を受け継ぐ、日系としての誇りを見た。鯉幟は小さくとも、立派に泳いでいる。ちなみに、自分でひとつ気に入った題で十句、二十句と作ってみることをお勧めする。多作多捨は正岡子規の概念である。子規は、生涯に二万三千以上の俳句を詠んだ。(嶋 幸佑)



この句を詠むと目の前に菜の花畑が広がっている様が思い浮かべられ春の穏やかな気候の茜雲は朝、夕どちらも美しく菜の花の丘とコラボでとてもよい感じです。元気で幸せいっぱいになるような気持ちになります。(日刊サン)

大人になり青空を泳ぐ鯉のぼりに少し距離が近づき、あの頃見えなかったものが見えたり、見えてしまったり、でもひたすら届かぬ距離にもどかしさを感じる五月の空。この俳句からは悲哀よりも、それを大きく包み込み笑ってしまおうというおおらかさが感じられますね。(TJSラジオ)



俳句には季語などの約束事があって、それを十七文字の中に凝縮させる難しさはありますが、私はそのようなことにはまったくの素人ですので、今回は一般読者の一人として作品を読ませていただき、自分なりに良いと感じた作品を選ばせていただきました。その結果選んだのは、「遠雷に―」です。選考するにあたり考慮した点をかいつまんで申し上げれば、以下の通りです。
(1)平易な日本語で出だしから終わりまですなおに読み下せるもの。
(2)読み終わったあとで、その場の情景が心にえがけるもの。
(3)日本の四季おりおりの風情が感じられるもの。
 3番目は選者の個人的な好みで、作品の良しあしとは直接関係ないかもしれません。(ゲスト選者・高橋哲夫)

俳句 ゲスト選者

高橋哲夫さんプロフィル

東京都出身。大学卒業後、大手商社に入社し大阪、北米、東南アジアなどの各支店を歴任。退職後は、2000年より南加日系商工会議所事務局長。現在はボランティアとして同事務局に非常勤勤務中。




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