NIKKAN SAN 2021-01-05

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ローカルニュース

「Dr.ピアニスト」 平田真希子演奏会 5月12日(木)19時開演

2022-04-20

 「♪赤い靴~、は~いてた~、お~ん~な~の~こ~」

 そう口ずさむ時、私たちは今でも戦後外国に引き取られた戦争孤児たちに想いを馳せる。

 「その優しさ。共感力。そういったものを高めるのも音楽のパワーです。」そう語るのはDr.ピアニストこと、日刊サンのコラム「ピアノの道」でもおなじみの平田真希子さん。演奏や収録と同時に、脳神経科学者との共同研究や、執筆や講演などを通じて、音楽の治癒効果を謳う音楽家だ。

平田真希子さん
平田真希子さん


 ロシア侵攻からまだ2か月も経たない中、国外に避難したウクライナ人は460万人を上回る。更にシリア難民は670万人、ヴェネズエラ難民は400万人、アフガニスタン難民は260万人...(UNHCRのHPより)

 「でも人間って数字では感情が湧かないそうなんです。」最近心理学者との共同プロジェクトも手掛ける平田さんは言う。行動の原動力となる感情とは違い、知性で理解する固有名詞や数字などの情報は人間を行動へは動かしにくい—「だから古来から『言葉を超える』と言われる音楽の有効利用が必須なんです。音楽の効果で世界的な恐慌に対する認識や団結力を高めるという研究が最近注目されています。」

 勿論、パワーには危険性も伴う。「薬と同じです。何でも効果が在るものは気を付けて使わないと。だから地道に研究を続けながら、他の分野の研究者や運動家たちと一緒に試行錯誤を繰り返しています。」

 そんな平田さんが5月12日(木)にロサンジェルスのダウンタウンにあるコルバーン音楽学校の演奏会場で演奏する。「海岸とかセレブなどのイメージが強いLAですが、豊かな文化史にも恵まれています。」革命や戦争などを逃れてロサンジェルスに来た移民の中に芸術家が多かったのはハリウッドが在ったからでもある。ノーベル文学賞を受賞したトーマス・マンなどの文豪と共に音楽家も多かった。ラフマニノフ、ストラヴィンスキー、シェーンベルグ...有名な名前がある一方で、欧州での栄光を2度と見る事無く失意の閉幕を迎えた人たちも多い。今回の演奏会で平田さんが焦点を充てるユダヤ人作曲家エルンスト・トッホ(1887-1964)もそんな一人だ。ドイツではブラームスの後継者とまで言われ、アカデミー賞候補に3回挙がり、晩年にはピュリツァー賞も受賞したトッホだが、今では彼の名前を知る人は少ない。


エルンスト・トッホ


 「五体満足で妻子と一緒に脱出しアメリカで住居を構えられても、避難民としての人生は本当に苦労が多いんですね。トッホの人生と音楽を通じて思い知りました。」ナチス政権下からの親戚の亡命のために奔走しても、成功したのはごく一部。そして亡命に成功した親戚の経済的援助のためにトッホは教職や不本意な映画音楽の委嘱などの仕事に埋もれ、徐々に鬱状態になっていく。1919年から1933年の間に35曲書いたトッホが、1933年から1947年の間に書いたのはわずか8曲。その一曲であるピアノの為の『プロフィール』(1946)は今回の平田さんの演目のハイライトだ。「なぜ自分だけが助かったのかというサバイバーズ・ギルトの辛苦を、この曲を通じて味わっている気がします」と語る平田さん。

 演奏会にはトッホの孫で作家のローレンス・ウェシュラ―の語りがつく。長年勤めた雑誌「ザ・ニューヨーカー」に戦争裁判のルポルタージュも書いた人道主義者。その著書は数多くの受賞に輝く。「シェーンベルグのお孫さんらを幼馴染じみにロサンジェルス近郊で育ったウェシュラ―氏のお話しを伺っていると、歴史の身近さ、そして文化交流が可能にする人と人との繋がりを愛おしく感じます。境遇の詳細に違いはあっても、人間は本当にみな兄弟なんだって、音楽のもたらす一体感で実感できる。その時空を提供するのが音楽家としての使命ではないかと思うのです。」

日時:5月12日(木)19時開演~20時終演
場所:Thayer Hall at Colburn School(200 S. Grand Ave, Los Angeles, CA 90012)

無料チケットのお申込みと演目の詳細はこちらから



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