【新型コロナウイルス】カリフォルニア州ソラノ郡で 米国初の感染経路不明の感染者確認
2020-02-29
8400人以上の健康を観察中
2月26日、米国の疾病対策センター(CDC、Centers for Disease Control and Prevention)は、新型コロナウイルスの感染経緯が不明な患者がカリフォルニア州ソラノ郡で確認されたと発表した。これは米国内では初めてのケースとなる。これを受けて、27日、カリフォルニア州のニューサム知事とカリフォルニア州公衆衛生局幹部らが会見を開いた。またソラノ郡は非常事態を宣言した。
会見をするニューサム カリフォルニア州知事(中央)。Office of the Governor of Californiaのツイッターでライブ配信された(https://twitter.com/CAgovernor)=2020年2月27日、カリフォルニア州
CDCは、26日、カリフォルニア州ソラノ郡の住人(女性)が、新型コロナウイルスの人から人への感染(コミュニティ感染)の可能性を確認したと発表した。この患者は、現在、サクラメント市のUC Davis Medical Centerで治療を受けている。この患者は中国への渡航歴もなく、中国を訪問した人との接触もない。また既に新型コロナウイルスに感染した人との接触もないという。現段階では感染した経路が不明。
カリフォルニア州のニューサム知事は、27日の午前中に記者会見で、トランプ政権とあらゆるレベルにおいて連携、協力をしていることを述べた。また、「この個人(患者)と接触した人々を追跡し、この個人(患者)の詳細を追跡していきます」と述べた。
ソラノ郡のTravis Air Force基地には、中国湖北省武漢から避難した米国人や日本の横浜港に着岸したクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」(船の運営会社はアメリカ、船籍がイギリス)の乗客らが、米国国務省のチャーター機で着陸し、14日間の隔離のため留まっている。
今回、陽性が確認された感染症患者と避難してきた患者との接触について、カリフォルニア州公衆衛生局長のソニア・エンジェル博士は、「現時点では、今回の個人(患者)と陽性と診断された避難者(患者)とのが接触した証拠はありません」と話した。
ニューサム知事は、米国国務省のチャーター機でTravis Air Force基地に避難した米国人は800人以上いるが、これはカリフォルニア州の空港利用者の一部だと話した。「何千人もの人々が、カリフォルニア州の空港を利用しています。 感染が懸念される地域、または感染の可能性がある特にアジア地域から戻った8,400人以上の人々の健康状態を、49の管轄区域で観察しています」と話した。
これまでカリフォルニア州には新型コロナウイルスが陽性と確認された33人の感染症患者(このうち5人は他州へ移動)がいる。このうち24人はチャーター機で避難した患者で、7人は中国本土への旅行者、1人は旅行者の配偶者で濃厚接触があった。しかし、今回、陽性が確認された患者はコミュニティ内での感染と考えられる。
「現在、現地、州、およびCDCが、コミュニティ内で調査しており、実際に行動しています。この個人と接触があった人に連絡をして、隔離をしています」と、ソニア・エンジェル博士は話した。
「(今回の発表は)当然のことながら多くの注目を集めましたが、私たちは誰も驚きませんでした。このような出来事が起きることは自然、疫学、そしてウイルスの性質に関連して、避けられないことでした」とニューサム知事。
カリフォルニア州は過去にもH1N1などの疾病の潜在的な拡散に対応してきた経験があり、医療システムや公衆衛生インフラが整えられてきた。これらの経験を活かし、今回も早い段階から準備をしてきたという。
健康リスクは低いまま
「現時点では、新規コロナウイルスから一般公衆への健康リスクは低いままです」とエンジェル博士は話した。
カリフォルニア州公衆衛生局によると、新型コロナウイルスの感染率は高いが、死亡率は低い。 国際データに基づくと、新型コロナウイルスの検査結果が陽性だった人々の約80%が入院する必要がある症状を示されていない。また、現在まで、米国では新型コロナウイルスに関連した死亡が確認されていない。カリフォルニア州は、今後も変化する経過を注意深く観察する。
今回、陽性だと確認された患者は、症状が悪化していたにもかかわらず、新型コロナウイルスの検査が受けるまで時間がかかったことが問題となっている。この患者が中国への渡航歴もなく、他の感染者との接触もなかったことが、CDCがこれまで検査の目安とした基準に当てはまらなかったからだった。
またニューサム知事によると、現在カリフォルニア州が持っている検査キットは200個だという。即日、カリフォルニア州は検査キットの増加をCDCに要請した。今後、カリフォルニア州はより多くの検査ができるように環境を整えていく方針だが、キットが、いつ、届くのか、現時点では不明だ。
ソラノ郡の公衆衛生オフィサーが記者会見
27日の午後、コミュニティ内での感染症患者が暮らしていたソラノ郡の公衆衛生オフィサーのベラ・マティヤ医師は記者会見を行い、「封じ込めから鎮静に段階が移行したことを認識することが重要です」と語った。今後は、潜在的な患者を調査し、病気になった人がいた場合には適切な診断とケアが受けられるようにする。
今回の患者について、2月15日にフルのような症状が出たため、家族が NorthBay VacaValley 病院のERに連れて行った。その後に症状が悪化したため、UC Davis, Medical Centerに移された。
今回のケースが判明した27日、ソラノ郡は非常事態宣言を発令した。しかし、シリアスな公衆衛生が脅威にさらされてはいるが、ソラノ郡の住人へのリスクは低いままとしている。
マティヤ医師は、「この新型ウイルスに関しては不明な点があるため、コミュニティの人々が不安になるのを理解しています。発生の可能性のある状況に備えて、地元、州、および連邦パートナーと協力しています。私たちは、このウイルス(の感染)が、誰も差別しないことを思い出さないとなりません。人種や出身国に基づいて人々を排除してはいけません」と語った。
ソラノ郡サイト
https://www.solanocounty.com/news/displaynews.asp?NewsID=1261&TargetID=1
UC Davisのメイ大学総長が声明発表
27日の午後、UC Davisのゲリー・S・メイ大学総長は書面で声明を発表し、キャンパス内のKearney Hallに暮らしていた3人の学生が、現在、キャンパス外の場所に隔離されていると明らかにした。そのうちの一人が新型コロナウイルスの検査を受けたが、現時点で、大学では誰も陽性と診断された人はいない。授業などはこのまま続行されるという。
また、書面には自分自身でできる予防についても書かれており、学生や職員らの心配や不安を軽減し、冷静に行動するようと記した。
メイ大学総長が声明
https://www.ucdavis.edu/news/message-campus-community-covid-19
新型コロナウイルスの予防について
1 石鹸と水で手を洗う。指の間などを念入りに洗う。
2 洗っていない手で目、鼻、口に触れないようにします。
3 病気の人との密接な接触を避ける。これにより、さまざまなウイルスによる感染のリスクを軽減する。
4 発熱や咳などの呼吸器症状で病気になった場合、職場、学校、または他の人々から離れてください。
=Tomomi Kanemaru

