Vol.46 こんなとき、どうする？「やはり親には老人ホームに入居してほしい。どうやって切り出せばいい？」
離れて暮らす高齢の親。最近は階段や坂道を上がるのが辛いと言い始めた。認知症の症状も出始めているようで独りで暮らす親の生活が心配。やはり親には老人ホームに入居してほしい。でも、どのタイミングで、どうやって話を切り出したらいいのだろう。こういうお声は高齢の親御さんがいるご家族からとても多くいただきます。今回は親御さんへの話の切り出し方や話すときのポイントをご紹介します。やってはいけない３つのポイント。
説得しない！直球を投げない！押し付けない！
遠く離れて暮らす高齢の親の暮らし。高齢になればなるほど身体能力が衰えてくるので日常生活に支障が出てきます。親の今後の暮らしが心配なので生活のサポートがある老人ホームに入居してほしい。この思いは家族なら当然です。では、どのように親に話せばいいのか。次の３つは避けましょう。
①親を説得しようとしない。
②ストレートに結論から話さない。
③家族の希望を親に押し付けない。
高齢の方は長年生きてきた経験により自分の考えと尊厳を持っています。家族から説得されたり、先に結論を出して押し付けたりすると家族の話を受け入れるどころか、頑なになってしまうケースがとても多いです。そして、一度拒絶してしまうと話を聞いてくれなくなるので、上記のやってはいけない３つのポイントは覚えておいてください。そして、普段の親子の日常会話で折に触れて「老後」の話を挟んでいくと、気持ちが重くならずに話しやすくなってきます。親の老後の話はタブーではなく、親を想うからこそできることです。早めに話し合いをすることで情報収集や検討する時間ができますので、ぜひ、試してみてください。
先にゴールを設定する。
事前に家族で話し合い、役割分担を決めておく。
親御さんと家族で話し合っていると感情に走って話が横道にズレてしまうことが多々あります。例えば、家族の話し合いで目指しているのは「親が安心して暮らせること」だったはずが、感情のもつれでケンカになってしまったり。これを防ぐには、事前に家族で「ゴール設定」をしておきましょう。そして、家族をチームと捉えて、それぞれの役割分担を決めておくことも大切なポイントです。
高齢の親のことは医療や介護のサポートなどはプロに任せたとしても、家族の役割は意外と多いものです。介護が必要になったとき、次のような事柄を各分野の専門家と相談しながら進めていくのは家族の役割です。
・介護保険の申請準備
・ケアマネジャーへの対応
・かかりつけ医への対応
・入院した場合の医療機関とのやりとり
・介護をする場所は？ 自宅か、施設か
高齢の親の日々の暮らしを支えていくことは、短期的なことではありません。親本人の希望を聞きながら、それぞれの事柄を決定するのは家族の役割です。家族の誰かにだけ負担がかからないように、事前に家族の中で「誰が、何をするのか」、役割分担をしっかりと決めておきましょう。
親には親の人生があり、家族には家族の生活と人生があります。家族間で揉めないように、それぞれが納得できる最良の選択をしていきたいですね。
ひとくちメモ ～私の母８３歳～ No.45
「娘には２回目の負担期がやってきた」の巻
「お母さん、長く生きすぎてしまった。来年には死にたい。」と先月初めに言い始めた母。娘である私にまたもや心理的な負担期がやってきた。前回の負担期は６年前に母を三重県から東京へ呼び寄せた時。母が東京へ来てからも母の老いや人間性を目の当たりにして母が作ったお料理を口にするとトイレに行って戻したりしていた。ただ、今回の負担期は２回目なので自分軸の揺れが少しで済み、平常心に戻るのが早かった。今も母は「もう死にたい」と時々言ってくるけれど、母と私は別の人間であり、別の人生がある。これを腑に落としていると母の気持ちを受け止めることができる。少しは私も成長しているかなと思えた2023年の始まりです。（続く）
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