Vol.39 こんなとき、どうする？ 「日本の親に施設に入ってほしい。どうやって切り出せばいいの？」
コロナ禍が少し落ち着いてきて、日本に一時帰国される方も増えてきました。この2年あまりの間に日本にいる高齢の親御さんのお身体の状態や生活の様子なども変わってきていると思います。親御さんに何か起こったときや緊急時の対応を考えて「親には施設に入居してほしい」というお声を遠く離れて暮らしている方から多く聞きます。今回は日本の高齢者向け施設の種類と施設入居について親御さんへの話の切り出し方のポイントをご紹介いたします。
日本の高齢者向け施設は種類がたくさん！
サービスや入居要件などで大きく分けると5種類。
超高齢化社会となった日本では、高齢者向け施設（高齢者向け住宅）も増え続け、日本全国に4万件以上の施設があります*。それらの施設をサービスの種類や入居要件で大きく分けると5種類となります。
1.特別養護老人ホーム（特養）
2.介護老人保険施設（老健）
3.グループホーム
4.有料老人ホーム
5.サービス付き高齢者向け住宅（サ付き、サ高住）
これらはサービス内容や介護サービスなどもさまざまですので、入居される方の希望に合わせて選ぶことができます。
※2019年10月1日時点：出典：e-Stat 社会福祉施設等調査「社会福祉施設等調査 / 令和元年社会福祉施設等調査 個別表 施設票」 ／厚生労働省 「令和元年介護サービス施設・事業所調査」
親に施設入居してほしい。
どうやって話を切り出せばいいのか？ポイントは３つ。
離れて暮らしていると親御さんが急に倒れても、すぐに家族が駆け付けることができないなど、夜間や緊急時でも親御さんが安心して暮らせるように「施設入居してほしい」とのお声を多く聞きます。ただ、「施設入居のことを親に切り出すのが難しい」と思うのはみな同じ。そんなときは、次の３つのポイントを取り入れてみましょう。
1.季節を理由にする
→「夏の猛暑を乗り切るため」「極寒の冬を安心して暮らせるように」など
2.親の希望を最優先して、話のスピードを合わせる
→ゆっくりと話して、必ず親の意思を確認しながら進める
3.感情を入れずに話す
→感情的にならずに冷静に優しく話す。
親御さんのことが心配なあまり、急ピッチで話を勧めようとしたり、「どうして分かってくれないの！」と感情を入れて話すと上手く話が進みません。また、親御さんの希望や意思をその都度確認することにより、「自分で選んでここに来た」と親御さんも思えるようになります。深刻に話すのではなく、季節を理由にして軽やかに優しく話すと最初の一歩を踏み出しやすくなります。 遠く離れているからこそできること。必ずあります。親御さんもご自分も、これからの人生の『より良い選択』をしていきたいですね。
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ひとくちメモ ～私の母83歳～ No.38
「髪が薄くなってきた母。てっぺんウィッグをつける』の巻①
母を東京に呼び寄せて今年で５年目。コロナ禍も少し落ち着いてきて、母も新たな環境で日常の暮らしを楽しんでいる。ある日、母の家に行くと「なんかさぁ、頭のてっぺんの髪の毛が薄くなってきて。」「街を歩いていて自分の姿が鏡に映るとガッカリする。」しょんぼりする母。「ウィッグをつけてみたら？」「でも、すっごく高価やろ？30万円とかしてるもん！」（もん！って、あなたは子ども？）「デパートで試着だけしてみれば？」「でも～、そんな高価なもの買えないし。」もじもじする母。「ちょっと試させてと言って、まずはどんな感じかみてみたら？」「今はネットでウィッグも安く買えるから。」83歳になっても一人で喫茶店に入れない末っ子気質の母。さて、デパートで母はウィッグを試着できるのか？（続く）
