Vol.1「IRAを理解しましょう。」
IRAとは何ですか?「IRA」とは、Individual Retirement Accountの略で個人退職金口座のことです。IRAの歴史は、1974年の従業員退職所得保障法(ERISA)の規定が施行された1975年に始まります。これにより、個人の退職金口座への扉が開かれました。IRAには、Traditional IRAとRoth IRAの2種類があります。その違いについて説明していきます。
Traditional IRAの利点
Traditional IRAを利用すると、税引前の収入からこのアカウントに引退資金を積み立てていくことができます。毎年のインカムタックスの際に、あなたの収入から積み立てた金額の一部またはすべてを差し引くことができ、あなたの税負担を軽減します。退職時にIRAから年金を受け取り始めると、それは所得として課税されます。また、IRAの口座内での運用益も税金先延ばしで増やしていくことが出来ます。これが長期にわたって税金の恩恵を受けながら、退職資金を増やしていける大変有利な方法となります。もちろん、運用先の商品により増減はありますが、各個人のリスクの許容範囲などや年齢により、運用商品を選ぶことが出来ます。
2020年以前は、IRSは、70.5歳以上の人が従来のIRAに積み立てをすることが出来ませんでしたが、2020年の時点で、年齢に関係なく、実労収入があれば誰もがIRAへの積み立てを継続できます。
IRAは、59.5歳に達した後に引き出すよう設定されています。 59.5歳以前にIRAから引き出した場合にはIRSからペナルティが課せられます。また、72歳に達した年からIRSから定められた金額を引き出していくことが、定められています。引き出さない場合にはペナルティがかかりますので、ご注意下さい。
Roth IRAの利点
Roth IRAの利点は引き出しのルールに柔軟性があることと、 引き出しのタイミングによっては、投資で増えた分(利子、配当金、キャピタルゲイン)に対する所得税がかからないという2点があります。
Traditional IRAと違いRoth IRAは、元本(contributions)の部分は所得税もペナルティも払わずに引き出せます。また投資で増えた分(利子、配当金、キャピタルゲイン)についても、年齢(59 ½歳以上)および保有期間(Roth IRAの口座開設から5年以上経過)の両方の条件を満たせば、所得税の支払いが免除されます。
なお、59歳未満の方や5年ルールに該当しない方も、初めて住宅を購入する場合や大学費用などのために引き出す場合は、特例が適用されペナルティなしでお引き出しが可能となることもあります。
Traditional IRAとRoth IRAどちらがお勧め?
人によって収入や年齢も異なりますので、会計士の方に相談するのがベストです。毎年のインカムタックスの際に積み立て金額も含めて会計士の方に計算してもらうといいでしょう。
IRAにいくら積み立てできますか?
連邦政府は、あなたがどのような種類の口座を開設するかに関係なく、あなたがIRAに入れることができる金額に制限を設けています。 2020年と2021年の課税年度では、IRAの入金金額は年間6,000ドルを超えることはできません。その年の課税所得が6,000ドル未満の場合は、それが上限になります。キャッチアップという制度もあり具体的には、 50歳に達すると、年間1,000ドルの追加入金が可能になり、積み立ての上限は7,000ドルになります。(*IRAへの積み立て金額は収入や401kの有無などでも制限がありますので、会計士と相談することをお勧めします。)
引退計画のヒント
引退に至るための具体的な財政計画を立てることは非常に重要です。どこから始めればよいのか、どのように貯蓄を増やすのかわからない場合は、金融機関や銀行のファイナンシャルアドバイザーとご相談下さい。
池田 典子 ファイナンシャル・アドバイザー。 福岡県生まれの神奈川育ち。ロサンゼルス在住30年。日系の銀行にて10年間金融アドバイザーとして活躍後、米系投資会社にて10年目。
お問い合わせemail: nikeda@wisdirect.com
Securities offered through Western International Securities, Inc. member FINRA/SIPC