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特別寄稿

子豚のぺパと子羊のベン 読者寄稿 大島治子

 ふらっと散歩するだけで、ブヒブヒ!ケコッ!と豚や鶏の動き回る声が聞こえる住宅地がLA市にある。その公立小学校のファームは、チャーターの独自資金で運営され、理科の先生の指揮のもと保護者が世話をしているもので、他に羊、兎、陸亀などがおり、私はボランティアを始めて7年目になる。

 三月の自宅待機令から児童は通学できないが、生き物の世話は日々続く。閉塞感で行き場のない夏休み、突然生後八か月の子豚がやってきた。名前はぺパ。最初は大きな先輩たちとは離れて生活し、気分転換にリーシュをつけてお散歩していた。犬と思っていたら子豚だと気づいた通りがかりの人達は、決まって大盛り上がり。いつも尻尾をぷりぷり振って笑顔なのに、なかなか触らせてくれないのが玉に瑕だった。理科の先生に秘策を聞いて実行していたら、ある日ころんと横になってもっと撫でて~、とねだるように…!小豚は腹を撫でられるのが好きらしい。先輩豚たちのそんな姿は見たことはなく、ぺパの可愛さにメロメロになっている。

 冬休みに新しく仲間入りしたのは、生後四か月・子羊のベン。おぼつかない足取りで、知らない場所に来ておびえている。夜はぺパと一緒の小屋で寝るようになり二週間経った今、どちらも白ベースの毛並みの二匹は種類は違えど姉弟のよう。週一回の当番に行くと、まずはぺパがとことこ走ってきて、ベンが「あれ?お姉ちゃんどこ行った?」という風にやってくる。目当てはもちろん食べ物だ。そんな二匹を見て、どうやら人間と仲良くすると良いことあるらしいぞ、とでも考えたのはお兄ちゃん豚のバディ。この間までちょっと近づくだけで飛び上がって逃げていたのが、私たちに近づいて手から野菜を食べるようになった。動物の世界でも若い世代が上の世代に影響を与えることがあるんだなあ~。

 なかなか友との交流や趣味の集まりも許されないことがもどかしく、「社会の最小単位は家庭」という明治生まれの女性初のジャーナリスト・羽仁もと子の言葉を思い出す。オンラインでの新年の交流で、30人以上の親族が集う会が成り立つのはコロナ福であろうか。いつになることやら、児童・生徒が再び通学できる日を待ちわびつつ…、でもその日までは、コミュニティのよちよち歩きの赤ちゃんから車いすでお散歩するおばあちゃままで、老若男女のご近所さんに暖かく見守られてファームは続いていく。皆さんもいつもと違う道を散歩したら、ぺパやベンのような動物達に出会うかもしれません。

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