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コラム

編集部
NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー② アメリカについてよく知ることが大切

2013-09-19

私たちがアメリカで仕事がしやすくなったのは日系人のお陰

 Facebookで日系企業の中で一番のファンを持つNITTO TIREは、デザインの斬新さから「Transformer」や「Fast & Furious」など映画でも使用され、映画業界も注目しているブランドだ。
 アメリカのセレブにもファンが多く、数年前に某有名プロゴルファーが夫人に追いかけられて木にぶつかったEscaladeには、NITTO TIREのタイヤが装着されていたのは記憶に新しい。
 とどまることなく発展し続けるNITTO TIREが、ビジネス以外で力を入れているのが、日系移民史ドキュメンタリーのプロデュースと日系アメリカ人の博物館・JANM(ジャニム)の応援企画、本紙連載の「JANMへ行こう!!」。
 3日連続掲載の第2回目は、水谷友重社長に、日系移民史に携わることになった経緯を聞いた。

NITTO TIREの歴史が一目でわかるコミックの表紙に水谷友重社長が描かれている


アメリカのビジネスルール

 —NITTO TIREが、日系移民のドキュメンタリーをプロデュースしたり、JANM応援記事を企画するようになったきっかけを教えてください。

 水谷社長:いろいろなことが重なって、一つの出来事からすぐにこうなったわけではないです。ある時、当時のユニオンバンク頭取であった田中正明氏の講演会に出席させていただきました。内容が感動的で非常に感銘を受けました。
 最後の締めくくりとして、「こちらで仕事をされる時、“アメリカで仕事をする”という考えでなく、“アメリカで仕事をさせてもらっている”という謙虚な姿勢でないと長続きしません。アメリカのビジネスにはアメリカのビジネスのルールがあって、利益を得た者は必ず社会貢献をしないとリスペクトされません。ここで成功したら、額はともあれ、少しでも社会に還元するように、そういう姿勢でないと永続きしません。
 やり方がわからない場合は、戦後、非常に苦労されて、現在、日本人が仕事をしやすくしてくださった礎を築いてくださった日系人の方に貢献するように。そこから始めることを私は勧めます」とおっしゃって、とても心に残りました。

忘れられなかった漫画

 私の子供が、4年前アメリカの私立大学に入学した時に、いろいろな奨学金に申込んだのですが、アメリカの市民権を持っていないので、全て断られました。しかし、日系の団体より唯一選ばれ、奨学金の授与式に出席させていただきました。その時の基調演説が、当時のJANM館長のアケミ・ヤノさんでした。
 「あなた達はこうやって奨学金をもらい、大学に行けて素晴らしいことだけれど、そうなったまでには一世二世の方の苦労があるのだから、あなた達が成功したら、後世に必ずこのような機会を与えるようにしてください」と。感動的なスピーチでした。
 スピーチが終わり、ヤノさんに一言感謝をお伝えに参りました。そして、以前読んで忘れられなかった漫画、かわぐちかいじ作「Eagle」の中に書かれていたコメント“昔コロラド州の知事が日系人を助けた”について、ヤノさんに聞きました。すると、ヤノさんは「それは、ラルフ・カーのことですよ」と、数々の素晴らしいエピソードを教えてくださいました。

パーツがつながり始めた

 心の中で、田中頭取(当時)の話、漫画「Eagle」の話、ヤノさんの話を、ずっと考えていたんです。その頃、弊社の歴史をビデオにしたり、アメリカ人の漫画家に漫画を描いてもらったりしていました。ビデオのナレーションを、FCI日本語放送の久下香織子アナウンサーにお願いしました。
 その時にラルフ・カーさんの話をしたら、久下さんのご主人でジャーナリストのフレッド片山さんが、ラルフ・カーさんの本を書こうと思っていたところ、他の方が書いたので断念しましたと。「私はラルフ・カーさんのことをよく知っています」とおっしゃったので、「ラルフ・カーさんのドキュメンタリーを作りましょう」という話をしたら、その場で即断で決まったんです。
 ドキュメンタリー制作の話をヤノさんにしたところ「元運輸長官のミネタさんやイノウエ上院議員がいらっしゃいますよ」と教えてくださいました。
 ドキュメンタリーを作り、JANMにもご協力させていただきながら改めて強く感じたのは、私たちがこうやってアメリカで仕事ができるのは、とても苦労された一世二世のストーリーなくしてはありえないと。規模は比べものになりませんが、ユダヤ系の方々が後押しされた「シンドラーのリスト」のような映像でわかりやすいものができればと思いました。

 ―日系移民史ドキュメンタリー第2弾はノーマン・ミネタ元米国運輸長官でした。水谷社長が初対面のミネタ元長官に出演依頼をされたそうですね。

 水谷社長:ミネタ元長官に、いきなりパーティーの席上でお願いしました。ミネタ元長官は驚かれたようですが、「いいですよ」と二つ返事でした。この国のリーダーの方の懐の深さに心が動かされました。
 
 第3回目は、9月21日付けに続く。

【水谷友重氏プロフィル】
‘84年3月 神戸大学経営学部卒業
‘84年4月 日商岩井(株)入社
       主に鉱山用タイヤ輸出業務で
       世界40ヶ国に出張
‘92年6月 米国赴任
‘00年2月 東洋ゴム工業(株)入社
‘05年7月 Nitto Tire U.S.A.Inc.社長就任
‘11年4月 東洋ゴム工業(株)執行役員就任
‘13年10月 Toyo Tire Holdings of
     Americas Inc.社長就任予定


=Tomomi Kanemaru


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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